選び方・調理法
選び方
関西風(葛餅)は、透明度が高く、表面に瑞々しい艶があるものを選ぶ。白濁しているものは鮮度が落ち、食感が損なわれている可能性がある。関東風(久寿餅)は、弾力があり、表面に不自然な変色や乾燥がないものを選ぶ。発酵食品特有の酸味のある香りが強すぎないものが新鮮とされる。
下処理
一般的には調理済みのものを供する。食べる1〜2時間前に軽く冷やすと、喉越しが良くなり清涼感が増す。ただし、冷やしすぎると澱粉の老化により食感が硬くなるため注意が必要。切り分ける際は、包丁を濡らすと断面が滑らかに仕上がる。
保存方法
乾燥を防ぐため、密閉容器に入れるかラップで包み、常温(15〜25℃程度)で保存する。澱粉が老化して食感が悪くなるため、長時間の冷蔵保存は避ける。製造から2〜3日が美味しく食べられる期限の目安。長期保存には向かないため、開封後は速やかに消費する。
時期・特徴
国内分布
関西風は全国(特に奈良県・吉野地方)、関東風は東京都およびその近郊(江戸周辺)。
時期
関西風は主に夏。関東風は通年(特に正月や初大師などの行事に合わせて需要が高まる)。
栄養
主成分は澱粉由来の炭水化物。関東風の久寿餅は、和菓子としては珍しい「発酵食品」であり、植物性乳酸菌が含まれるため、整腸効果が期待できるとされる。脂質はほとんど含まれず、低カロリーな菓子である。
特徴
地域により原料と製法が全く異なる。
- 関西風(葛餅):マメ科の葛の根から採れる葛粉(吉野葛など)に、水と砂糖を加えて透明になるまで練り上げたもの。プルプルとした強い弾力と透明感が特徴。
- 関東風(久寿餅):小麦粉から抽出した澱粉を1年半ほど乳酸発酵させた後、湯を加えて蒸し上げたもの。独特の酸味と香りを持ち、白濁した餅のような食感が特徴。
いずれも黒蜜ときな粉をかけて食べるのが一般的である。
品種・由来
- 品種名:葛餅(関西風)、久寿餅(関東風)、ウムクジプットゥ(沖縄風)
- 分類:菓子類(和菓子・生菓子)
- 学名:―
由来
関西では原料の「葛(クズ)」に由来する。関東では、原料が採れる下総国葛飾郡(現在の東京都東部から千葉県周辺)の地名から「葛餅」と書かれたが、葛粉を使わないため区別して「久寿餅」と表記されるようになったとされる。
伝来
葛粉の利用は古くから日本各地に存在した。関東風の久寿餅は、江戸時代後期に川崎大師の門前町で、雨に濡れて発酵した小麦粉澱粉を蒸したところ美味であったことが始まりという説がある。
歴史背景
関東風の久寿餅は、池上本門寺(大田区)、亀戸天神(江東区)、川崎大師(川崎市)といった有名な社寺の門前町で、参拝客向けの土産や軽食として定着した。江戸時代から続く「江戸っ子」の味として親しまれている。
備考
沖縄県ではサツマイモ澱粉(ウムクジ)を用いた独自の「くずもち」があり、地域によって食文化の多様性が見られる。

