選び方・調理法
選び方
外観: 果皮が濃い緑色で、ハリとツヤがあるもの。ヘタが緑色で枯れていないもの。黄色く色づいたものは酸味がまろやかになるが、特有の爽やかな香りは減少する。
重さ: 手に持ったときにずっしりと重みがあるものは果汁が豊富。
見極め: 果皮が薄く感じるものの方が、皮が厚いものよりも果肉の歩留まりが良い傾向がある。
下処理
搾り方(重要): 香り成分(精油)は果皮に含まれるため、横半分に切り、切り口を上(皮を下)に向けて搾ると、果汁に皮の香りが混ざり風味豊かになる。
カット: 果汁をたっぷり搾るなら横半分カット。添え物として果汁をかけやすくするなら、繊維を断ち切るように「くし形」や「スマイルカット」にする。
種: 種が多いため、調理に使う際は茶漉しを通すか、種なし品種を選ぶと作業性が良い。
保存方法
冷蔵: 乾燥に弱く、常温ではすぐに果皮が黄色くなり(追熟)、香りが飛んでしまう。ポリ袋に入れて空気を抜き、冷蔵庫(野菜室)で保存する。緑色の状態を保てるのは2週間程度が目安。
冷凍: 長期保存する場合は、丸ごと冷凍用保存袋に入れて冷凍する(自然解凍で果汁を利用)。または果汁を搾って製氷皿などで冷凍する。皮をすりおろして冷凍しておくのもよい。
時期・特徴
国内分布
生産量の9割以上が大分県(臼杵市、竹田市、豊後大野市など)。日本固有の柑橘であり、他県での生産は非常に少ない。
時期
ハウス栽培: 3月~8月
露地栽培(旬): 8月~10月(最も香りと酸味が良い時期)
貯蔵品: 11月~2月
周年供給体制が整っているが、旬は秋(サンマの時期と重なる)。
栄養
糖度が低く、酸度(有機酸)が高い。特にクエン酸の含有量が非常に多く(レモンやスダチよりも多いとされる)、疲労回復や食欲増進に効果が期待される。ビタミンCも豊富。カリウムを多く含み、塩分排出効果があるため、減塩調理の風味付けに適している。
特徴
ユズの近縁種とされる香酸柑橘。
外観: 重さは100~150g程度(テニスボール大)で、スダチ(30~40g、ゴルフボール大)よりも圧倒的に大きい。果頂部のヘタ落ち部分の周りに、ドーナツ状の盛り上がり(リング)があるのが特徴。
風味: 上品でまろやかな酸味と、爽やかな香りが特徴。ユズやスダチに比べて酸味の角が立たず、食材の味を邪魔しないため、ふぐ料理や焼き魚、味噌汁、焼酎など幅広い用途に使われる。
品種・由来
- 品種名:
大分1号: 主力の一般品種。
種なし品種: 豊のミドリ、祖母の香(そぼのかおり)、香美の川(かみのかわ)など。加工適性や調理の利便性を高めた品種。
- 分類:ミカン科ミカン属
- 学名:Citrus sphaerocarpa
由来
名称は、ダイダイの古名である「かぶす」が転訛したものといわれる。「香母酢」は当て字。皮が厚く、かつては乾燥させて燻し、蚊除けに使われたことから「蚊燻し(かぶし)」が転じたという説もある。
伝来
詳細な起源は定かではないが、大分県臼杵市には、元禄8年(1695年)に医師の宗玄が京都から苗木を持ち帰ったとする説が伝わっている。臼杵市内には樹齢200年を超える古木が存在していた(現在は枯死)。
歴史背景
大分県では古くから庭木として植えられ、薬用(のどの痛み止めなど)や食酢の代用品として利用されてきた。昭和40年代以降、大分県の特産振興策として栽培が本格化し、全国へ普及した。
備考
大分県では味噌汁や麺類に果汁を垂らすのが日常的な食べ方である。
スダチ(徳島県特産)と混同されがちだが、大きさと香りの質が異なる。スダチはキリッとした強い香りと酸味が特徴で松茸などの高級食材に合わせられることが多いのに対し、カボスは量が多くまろやかで、日常的なお惣菜や薬味としてたっぷりと使うのに適している。

