選び方・調理法
選び方
果皮が緑色や薄黄緑色のものは未熟なため、室温で追熟させる必要がある。全体が鮮やかな黄色に変わり、特有の甘い芳香が強く漂い、表面に油成分が染み出してベタつきが出た状態が完熟のサイン。持った時にずっしりと重みがあり、傷や変色が少なくふっくらとしたものを選ぶとよい。
下処理
完熟すると表面に「油上がり」と呼ばれる特有のヌルつき(天然のワックス成分)が出るため、ぬるま湯で丁寧に洗い落とす。果肉は非常に堅く、石細胞が多く含まれるため、カットする際は安定した場所でしっかりと包丁を入れ、怪我をしないよう十分な注意が必要。生食はできないため、輪切りや種ごとのカットなど、用途に合わせて切り分ける。
保存方法
緑色の残る未熟なものは、乾燥を防ぐため新聞紙などで包み、直射日光の当たらない涼しい場所(室温)で追熟させる。完熟して黄色くなり香りが強くなったものは傷みやすいため、速やかに加工するか、新聞紙で包みポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存し、数日以内に使い切る。
時期・特徴
国内分布
香川、愛媛、山形など。
※長野県(諏訪地方など)が産地として有名だが、同地で「カリン」として扱われているものの多くは、植物学的には近縁種の「マルメロ」である(後述の備考参照)。
時期
10月下旬~11月
栄養
カリウムや食物繊維を含むが、生食せず砂糖漬けや果実酒のエキスとして摂取する場合が多いため、果肉そのものの栄養素摂取は限定的である。成分としては、咳止め効果があるとされるアミグダリン(種子に多い)や、渋み成分のタンニン、ビタミンC、リンゴ酸、クエン酸などを含む。
特徴
果実は楕円形で表面はなめらか。マルメロと異なり、果皮に綿毛がないのが特徴。果肉は非常に堅く、渋みが強いため生食には適さない。砂糖漬け、蜂蜜漬け、ジャム、果実酒などに加工して利用されるのが一般的。加熱やアルコール浸漬によって、アミグダリンが分解されベンズアルデヒドという芳香成分に変わり、咳止めや喉の痛みに良いとされる。
品種・由来
- 品種名:特に市場流通する特定品種名はなく「カリン」として扱われる。
- 分類:バラ科カリン属(※かつてはボケ属に分類されていたが独立した)
- 学名:Pseudocydonia sinensis
由来
マメ科の常緑高木「花櫚(カリン/別名:インドシタン)」に木目が似ていることから、その名が転用されたといわれる。
伝来
正確な時期は不明だが、江戸時代にはすでに庭木として定着していたとされる。
歴史背景
中国東部が原産とされ、日本へは薬用および観賞用として伝わった。春には淡紅色の花を、秋には紅葉と黄色い果実を楽しめることから家庭果樹や盆栽としても親しまれてきた。材は堅く緻密で粘りがあるため、高級な家具材や床柱としても重用されてきた歴史がある。
備考
長野県諏訪地方などで古くから「カリン」として栽培・販売されているものは、植物学的には別属の「マルメロ(Cydonia oblonga)」であることが多い。マルメロは洋ナシ型で果皮に綿毛があるのが特徴で、真のカリンとは区別されるが、地域的な通称として定着している。市場では混同を避けるため、マルメロを「本カリン」「スワカリン」などと呼び分ける場合もある。

