選び方・調理法
選び方
ガチョウ(オア)は表面がクリームがかった白色から淡いピンク色、カモ・アヒル(カナール)はやや黄土色を帯びた色合いが良いとされる。色が均一で、極端な変色や斑点、血がにじんでいるものや太い血管が浮き出ているものは避ける。軽く押さえて適度な弾力があり、表面が滑らかでツヤのあるものが良質とされる。
下処理
内部に通っている太い血管や神経、筋(血管網)を、肉の形を崩さないように丁寧に取り除く(デネルヴェと呼ばれる作業)。フォアグラは融点が低く手の温度でも脂が溶け出してしまうため、室温に少し置いて扱いやすい硬さにしてから、ピンセット等を用いて手早く作業を行うことが求められる。
保存方法
非常に脂質が多く酸化や鮮度劣化が早いため、空気に触れないようラップ等で密閉し、冷蔵(チルド室)で保存して速やかに使い切る。長期保存する場合は、下処理後に1回分ずつ真空パックなどにして急速冷凍する。
時期・特徴
国内分布
国内で流通するものはほぼすべて輸入品である。伝統的にはフランス産が有名であるが、鳥インフルエンザなどの影響により輸入制限がかかる時期もあり、近年はハンガリー産やブルガリア産なども広く流通している。
時期
冷凍品などを中心に通年流通しているが、本来は渡り鳥が秋から冬にかけて栄養を蓄える習性を利用していたことや、欧米のクリスマス等の祝祭需要から、晩秋から冬季が旬とされる。
栄養
成分の半分以上を脂質が占め、非常に高カロリーである。ビタミンA、ビタミンB群(B12など)、鉄や銅などのミネラル類を豊富に含む。
特徴
ガチョウ(オア)やカモ・アヒル(カナール)にトウモロコシなどの飼料を多量に与えて肥育(ガヴァージュ)し、人工的に脂肪肝にさせた部位。キャビア、トリュフと並び「世界三大珍味」の一つに数えられる。ガチョウ(オア)は重量が大きく(約700~900g程度)、繊細で上品な風味を持ち、融点が低く口溶けが良いためテリーヌなどに適するとされる。カモ・アヒル(カナール)はやや小ぶり(約400~600g程度)で、野趣に富んだ力強い風味があり、加熱しても脂が溶け出しにくいためポワレ(ソテー)などに多用される。
品種・由来
- 品種名:オア(ガチョウ)、カナール(ミュラール鴨などの交雑種が主流)
- 分類:鳥綱 カモ目 カモ科
- 学名:Anser anser domesticus(ガチョウとして)、Cairina moschata × Anas platyrhynchos(ミュラール鴨として)
由来
フランス語の「foie gras」に由来する。「foie」は肝臓、「gras」は脂肪の多い、太った、を意味する。「foie」自体の語源は、ラテン語の「ficatum(イチジクによって肥大した肝臓)」に由来するとされる。
伝来
日本には明治時代以降、西洋料理(フランス料理)の流入とともに伝わったとされるが、一般の飲食店などに広く普及したのは1980年代のバブル経済期以降である。
歴史背景
起源は古代エジプト(紀元前2500年頃)に遡るとされ、渡り鳥が長距離飛行の前に過剰に餌を食べる習性を観察したことから始まったとされる。その後古代ローマに伝わり、干しイチジクを与えて飼育する手法がとられた。17世紀から18世紀のフランスにおいて、現在のトウモロコシを用いたガヴァージュ(強制給餌)の手法や調理法が確立し、高級食材として定着した。
備考
品質により、傷がなく形が整った「エキストラ(Aグレード)」、やや傷や色ムラがある「プルミエ(Bグレード)」などに格付けされて流通する。近年、強制給餌(ガヴァージュ)という生産方法が動物福祉(アニマルウェルフェア)の観点から議論の対象となっており、欧米の一部国家や地域では生産や販売を禁止する動きもある。

