選び方・調理法
選び方
肉の色が淡い灰紅色(美しいピンク色)で、ツヤと適度な弾力があるものを選ぶ。脂肪部分は白く(または乳白色)濁りがなく、赤身との境目がはっきりしているものが良質とされる。パック内にドリップ(肉汁)が溜まっていないかを確認する。
下処理
厚切り肉(とんかつやソテー用など)を調理する際は、加熱による反り返りや焼き縮みを防ぐため、赤身と脂肪の境界にある筋に数カ所包丁を入れて切る(筋切り)。肉質が硬い場合は、肉叩き等で軽く叩いて繊維をほぐすと軟らかく仕上がる。
※豚肉はE型肝炎ウイルスや寄生虫(有鉤条虫など)の感染リスクがあるため、生食は厳禁。中心部まで十分に加熱(中心温度75℃で1分以上、またはそれと同等以上)することが必須である。また、生肉を扱った包丁やまな板などの調理器具は、念入りに洗浄・熱湯消毒して二次感染を防ぐ。
保存方法
水分が多く、牛肉に比べて傷みやすいため、チルド室などの低温で保存し、早めに消費する。長期保存する場合は、表面の水分を拭き取り、空気に触れないようラップで密閉して急速冷凍する。薄切り肉は生のまま、あるいは下味をつけてから冷凍するとよい。カツやソテー用は衣や下味をつけてから冷凍しておくと調理がスムーズになる(冷凍カツは解凍せず凍ったまま揚げる手法もあるが、中心部までの加熱に留意する)。
時期・特徴
国内分布
全国。特に鹿児島県、宮崎県、北海道、群馬県などが主要な生産地として知られる。
時期
通年。
栄養
良質なタンパク質と脂質を含む。特筆すべきはビタミンB1の豊富さで、食肉の中でもトップクラスの含有量を誇り、糖質代謝を促して疲労回復に役立つとされる。
特徴
胸から腰にかけての背中側の筋肉部分。肉質はきめ細かく軟らかで、豚肉特有の旨味と風味を持つ。外側の縁に沿って厚い脂肪の層(脂身)があり、この部分に甘みがあるのが特徴。とんかつ、ポークソテー、しゃぶしゃぶ、すき焼き、ローストポークなど、厚切りから薄切りまで幅広い料理に用いられる。肋骨(あばら骨)をつけたままカットしたものは「ポークチャップ(骨付きロース)」と呼ばれ、主にオーブン焼きやグリルに使用される。
品種・由来
- 品種名:三元交配豚(ランドレース種、大ヨークシャー種、デュロック種の交雑が主流)、バークシャー種(黒豚)など
- 分類:哺乳綱 偶蹄目(鯨偶蹄目)イノシシ科 イノシシ属
- 学名:Sus scrofa domesticus(家畜豚として)
由来
部位名の「ロース」は、英語で「焼く」を意味する「ロースト(Roast)」に由来し、ローストポークなどのオーブン焼きに適した部位であることから名付けられた和製英語とされる。
伝来
日本における豚(家畜化されたイノシシ)の飼育は、弥生時代には始まっていたとされる。現在の主流である近代的な西洋品種(ヨークシャー種やバークシャー種など)は、幕末から明治時代にかけて欧米から導入された。
歴史背景
古代日本ではイノシシとともに広く食用とされていたが、仏教の殺生禁断の思想や天武天皇の肉食禁止令などにより、表向きの肉食文化は長らく衰退した。しかし、沖縄(琉球王国)や九州南部(薩摩藩)では独自の豚食文化が継続していた。明治維新以降に肉食が解禁され、大正時代から昭和初期(特に関東大震災以降)にかけて養豚業の発展とともに、とんかつなどの洋食文化が一般大衆に広く普及した。
備考
「鳴き声以外はすべて食べられる」と言われるほど、精肉から内臓(モツ)、血液、豚足、耳(ミミガー)、頭部(チラガー)に至るまで、全身が無駄なく食肉・加工肉として利用される食材である。

