選び方・調理法
選び方
肉の色が深みのある鮮やかな赤色(鮮紅色)でツヤがあり、キメが非常に細かいものを選ぶ。もともと脂肪が入りにくい部位であるが、和牛などの場合は細かく均一に脂肪(サシ)が入っているものが上質とされる。パックの底にドリップ(肉汁)が流れ出ているものや、表面が黒ずんで乾燥しているものは鮮度が落ちているため避ける。
下処理
表面に薄い筋膜(シルバースキン)がついている場合は、口当たりを良くするため包丁で丁寧に削ぎ落とす。非常に柔らかい肉質であるため、ステーキにする際の筋切りは基本的には不要である。脂肪が少なく加熱しすぎるとパサつきや硬さの原因になるため、火入れの加減には注意が必要とされる。
保存方法
空気に触れないようにラップで密閉し、チルド室(氷温室)などの低温で冷蔵保存してなるべく早く使い切る。すぐに使わない場合は1回分ずつ小分けにしてラップで包み、冷凍保存する。調理の際はドリップの流出を防ぐため、冷蔵庫内でゆっくりと自然解凍し、半解凍状態で調理すると旨みを逃しにくい。
時期・特徴
国内分布
国内各地(和牛、交雑種、ホルスタイン種など)で生産されているほか、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどから輸入されたものも広く流通している。
時期
通年
栄養
牛肉の部位の中で最も脂肪が少なく、高タンパク・低カロリーである(ただし和牛などの霜降り肉は脂質量が多くなる)。鉄分や亜鉛などのミネラルや、ビタミンB群(ビタミンB1、B2、B12など)が豊富に含まれる。
特徴
牛の背骨の内側に沿ってサーロインの下部に位置する、細長い円錐形の筋肉。ほとんど運動しない筋肉であるため、牛肉の中で最も柔らかく、キメが細かいのが特徴である。1頭(約500kg)から左右1本ずつ、計数キログラム(牛全体の約3%程度)しか取れない最高級部位とされる。
部位ごとに名称があり、最も太い中心部分を「シャトーブリアン」、その次を「トゥルヌド」、細い先端部分を「フィレミニョン」と呼ぶことが多い。脂肪が少ないため、ステーキ(網焼き、鉄板焼き)やビフカツ、ローストなどに最適である。
品種・由来
- 品種名:黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種(以上和牛4品種)、交雑種(F1)、ホルスタイン種、アンガス種など
- 分類:鯨偶蹄目ウシ科ウシ属
- 学名:Bos taurus
由来
日本語の「ヒレ」は、フランス語で糸や細長いものを意味する「フィレ(filet)」がなまったものといわれている。また、英語圏で呼ばれる「テンダーロイン(tenderloin)」は、「tender(柔らかい)」と「loin(腰肉)」を合わせた言葉に由来する。
伝来
牛自体は、弥生時代頃に朝鮮半島などを経由して日本に伝来したとされる。当初は農耕用や運搬用の役牛として利用されていた。
歴史背景
世界的には古くから食用とされ、紀元前3000~前2000年の古代エジプトの壁画にも牛肉を食す様子が描かれている。日本では大国主命が農民に牛肉を食べさせたとされる伝説もあるが、仏教伝来以降、飛鳥時代の天武天皇による「殺生禁断令(675年)」などを皮切りに、長らく表立って牛馬などを食用とすることは禁じられた。しかし、戦国時代から江戸時代にかけては、健康回復や養生を目的とした「薬喰い」として一部で食べられていた。明治時代の文明開化に伴う肉食解禁を経て、一般に広く普及した。
備考
関西地方では「ヘレ」や「フィレ」と発音・表記されることも多い。脂肪が少なくさっぱりとした味わいと極上の柔らかさから、老若男女問わず人気が高く、極めて高価な部位として扱われる。なお、牛肉の表面には食中毒菌が付着している可能性があるため、ステーキなどにする際も表面はしっかりと焼いて殺菌する必要がある。

