選び方・調理法
選び方
果皮が濃い橙色で、全体にハリとツヤがあるものを選ぶ。持った時にずっしりと重みを感じるものは果汁が豊富である。
ヘタが緑色で枯れていないものが新鮮とされる。皮と果肉の間に隙間ができる「浮き皮」の状態や、フカフカと軽いものは、水分が抜け味が落ちている可能性があるため避ける。
下処理
皮はやや厚みがあるが、手で剥くことができる。ただし、内袋(じょうのう膜)もやや厚く口に残りやすいため、気になる場合は内袋を剥いて果肉だけを取り出すか、包丁でスマイルカット(くし形切り)にして食べるとよい。
種が入っていることが多いため、調理の際は取り除く必要がある。
保存方法
乾燥に弱いため、ポリ袋などに入れて冷暗所または冷蔵庫の野菜室で保存する。
酸味が強い場合は、風通しの良い涼しい場所に数日置くと酸が抜けて甘みを感じやすくなる(追熟効果)。長期保存する場合はラップで個包装して冷蔵すると鮮度を保ちやすい。
時期・特徴
国内分布
生産量の約90%を愛媛県が占めており、同県の特産品として圧倒的なシェアを持つ。その他、和歌山県、佐賀県などでわずかに栽培されている。
時期
収穫は11月下旬から12月に行われるが、収穫直後は酸味が強いため、倉庫で一定期間貯蔵(予措・追熟)し、減酸させてから出荷される。
市場に出回るのは1月〜3月頃で、最も味が乗る旬は2月頃とされる。3月以降まで木にならせて完熟させ、越冬してから出荷する「弥生紅(やよいべに)」などのブランド品もある。
栄養
ビタミンCやクエン酸を含み、風邪予防や疲労回復に役立つとされる。ミカン類に特徴的な成分であるβ-クリプトキサンチンや、香り成分のシネフィリン、リモネンなども含まれる。
特徴
温州ミカンとオレンジ類の交雑種(タンゴール)の一種とされる。
鮮やかな赤橙色の果皮と、爽やかで濃厚な香りが特徴。果肉は柔らかく非常にジューシーで、甘みと適度な酸味のバランスが良い。
皮が手で剥ける手軽さと、オレンジのような芳醇な風味を併せ持つため、日本の柑橘類(中晩柑)の中でも根強い人気がある。生食が主だが、香りの良さを活かしてマーマレード、ゼリー、ドレッシング、ピール(果皮の砂糖煮)などにも加工される。
品種・由来
- 品種名:宮内伊予柑、大谷伊予柑、勝山伊予柑、弥生紅(完熟栽培の商標)
- 分類:ミカン科ミカン属
- 学名:Citrus iyo
由来
もともと山口県で発見された際は地名をとって「穴門(あなと)みかん」と呼ばれていたが、愛媛県(旧国名:伊予)へ導入されて盛んに栽培され、特産地化したことから「伊予柑」の名が定着した。
伝来
明治時代(1886年頃)、山口県阿武郡(現・萩市)の中村正路氏の庭で発見された偶発実生が起源とされる。当時は詳細な親品種は不明であったが、後の研究でミカン類とオレンジ類(カイガラムシなどが媒介した可能性)の自然交雑種と推定されている。
現在流通している主力品種の「宮内伊予柑」は、昭和30年に愛媛県松山市の宮内義正氏の果樹園で発見された枝変わり(突然変異)で、従来種よりも成熟が早く、豊産性であったことから昭和40〜50年代にかけて急速に普及した。
歴史背景
昭和中期以降、温州ミカンの生産調整が進む中で、代替となる「中晩柑(ちゅうばんかん)」として愛媛県を中心に栽培が拡大した。一時は中晩柑類の中で最大の生産量を誇ったが、近年は「不知火(デコポン)」などの新品種の台頭により生産量は減少傾向にあるものの、依然として代表的な春の柑橘としての地位を維持している。
備考
名称の「イヨカン」が「いい予感」に通じることから、受験シーズン(1月〜2月)の縁起物として、合格祈願の関連商品や神社での配布などに利用されることも多い。

