選び方・調理法
選び方
外観: 果皮の色が濃く鮮やかで、ツヤがあるもの。油胞(果皮のつぶつぶ)がきめ細かく、密集しているものが良品。
形状: 扁平で、へたの軸が細いもの(軸が太いものは水分が多く味が薄い傾向がある)。
感触: 皮が薄く果肉に張り付き、持ったときに大きさに比べてずっしりとした重みがあるもの。「浮皮(果皮と果肉の間に空洞がある状態)」は味が落ちやすく日持ちもしないため避ける。
下処理
生食・果肉利用: 手で簡単に皮がむける。果肉の周りの白い筋(アルベド)には栄養が含まれるため、食感が気にならなければそのまま摂取することが推奨される。
調理利用: 焼き菓子やゼリーなどに用いる際は、薄皮(じょうのう膜)の食感が邪魔になる場合があるため、シロップ漬けにするか、一房ずつ丁寧にむいて使用する。
保存方法
常温: 冬場は風通しの良い冷暗所で保存する。箱で購入した場合は、底の方から傷みやすいため、一度すべて取り出して上下を入れ替えるか、底にあるものから食べる。
冷蔵: 暖房の効いた室内や夏場(ハウスみかん)は、乾燥を防ぐためポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存する。
コツ: ヘタを下にして置くと乾燥しにくく長持ちするとされる。
時期・特徴
国内分布
主産地は和歌山県、愛媛県、静岡県、熊本県、長崎県など。西日本の暖地や海岸沿いの傾斜地で盛んに栽培される。
時期
ハウスみかん: 5月〜9月
極早生(ごくわせ): 9月〜10月(果皮に緑色が残ることがある)
早生(わせ): 10月下旬〜12月
中生(なかて)・普通温州: 11月下旬〜12月
晩生(おくて): 1月〜3月(青島温州など)
栄養
ビタミンCが豊富で、2個食べれば成人の1日分の必要量を満たすとされる。黄色い色素成分であるβ-クリプトキサンチンは強力な抗酸化作用を持ち、生活習慣病予防への効果が期待されている。白い筋(アルベド)にはビタミンP(ヘスペリジン)が含まれ、毛細血管の強化に役立つとされる。
特徴
日本原産の代表的な柑橘。最大の特徴は、皮が手で簡単にむけ、種がなく(あってもごく稀)、内袋ごと食べられる利便性にある。甘味と酸味のバランス(糖酸比)が食味の決め手となる。日本の冬の食卓に欠かせない果実である。
品種・由来
- 品種名:
極早生: 日南1号、ゆら早生 など
早生: 宮川早生、興津早生 など
中生・普通: 南柑20号、杉山温州 など
晩生: 青島温州、大津4号 など
- 分類:ミカン科ミカン属
- 学名:Citrus unshiu
由来
名称は、柑橘の名産地である中国の「温州(うんしゅう)」にちなんで名付けられたが、実際は日本独自の品種である。中国の温州から伝わった種が変異した、あるいは在来種との交雑説などがある。
伝来
約400年前(江戸時代初期)、鹿児島県の長島(現在の出水郡長島町)で偶発実生として発見されたと推定されている。
歴史背景
江戸時代、種がないことは「家系が途絶える」として武家社会では縁起が悪いとされ、種のある「紀州ミカン(小ミカン)」が主流であった。明治時代に入り、種がなく食べやすい特長が評価され、急速に栽培が普及した。現在では世界各地に輸出され、「Satsuma(サツマ)」の名で親しまれている。
備考
英名は Satsuma Mandarin または Mikan。
果皮を乾燥させたものは漢方で「陳皮(ちんぴ)」と呼ばれ、七味唐辛子の材料や生薬として利用される。収穫後に酸味が強い場合は、風通しの良い場所に数日置くことで酸が分解され、甘味を強く感じるようになる(追熟効果)。

