選び方・調理法
選び方
生果(加工用): 国内産(小豆島産など)の生果が入手できる場合、果皮にハリとツヤがあり、傷や黒ずみ(炭疽病など)がないものを選ぶ。用途に合わせて、緑色の「青い実(未熟果)」か、黒紫色に色づいた「熟した実(完熟果)」かを選び分ける。
加工品(塩漬け・ピクルス): 粒の大きさが揃っており、果肉が崩れておらず締まりがあるもの。ブラックオリーブの場合、種抜きのものは便利だが、種付きの方が一般的に風味や食感が保たれていることが多い。
下処理
渋抜き(アク抜き): 生の果実には「オレウロペイン」という強い苦味・渋味成分が含まれており、そのままでは食用にならない。苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)水溶液に浸して短時間で渋を抜く方法や、塩水や真水に長期間浸して乳酸発酵させながらゆっくり渋を抜く方法がある。
> ※苛性ソーダを使用する場合は、薬品の取り扱いに十分注意し、規定の濃度を守ること。また、渋抜き後は薬品が残らないよう完全に洗い流す必要がある。
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塩抜き: 市販の塩蔵品が塩辛すぎる場合は、薄い塩水(真水だと旨味も抜けるため1~2%程度の塩水が良いとされる)に浸して好みの塩加減になるよう塩抜きを行う。
保存方法
生果: 収穫後は酸化と乾燥が進み、放置すると油分が変質しやすいため、入手したその日のうちに下処理(渋抜き)を始めるのが原則。
加工品: 開封後はカビや酸化を防ぐため、実が完全に隠れるように漬け汁(ブライン液)やオリーブオイルに浸した状態で密閉容器に入れ、冷蔵保存する。金属缶の場合は必ずガラスや陶器、プラスチック等の容器に移し替える。
時期・特徴
国内分布
香川県小豆島が国内生産量の9割以上を占める最大産地。次いで静岡県、熊本県、広島県、岡山県などで栽培されている。海外ではスペイン、イタリア、ギリシャなどの地中海沿岸諸国が主産地。
時期
生果の収穫: 9月中旬〜10月(ピクルス・新漬け用の青い実)、11月〜12月(オイル用・完熟漬け用の黒い実)。
加工品: 輸入瓶詰め等は通年。国産の「新漬けオリーブ」は、収穫直後の10月頃から季節限定で出回る。
栄養
果肉の脂肪分が高く(品種・熟度により15〜30%程度)、その大部分が酸化されにくい一価不飽和脂肪酸の「オレイン酸」である。また、抗酸化作用のあるビタミンEや、ポリフェノール類(オレウロペイン、ヒドロキシチロソールなど)を豊富に含む。
特徴
モクセイ科の常緑高木。果実は熟度によって緑色から赤紫色、黒紫色へと変化する。
グリーンオリーブ: 未熟な状態で収穫したもの。果肉が硬く、フレッシュな香りと特有の渋み(苦味)が特徴。
ブラックオリーブ: 完熟してから収穫したもの。果肉が柔らかく、芳醇な風味と油分を感じるまろやかな味わい。
> ※市販の安価なブラックオリーブには、グリーンオリーブをアルカリ処理で酸化させて黒く着色したもの(グルコン酸鉄使用)もある。
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品種・由来
品種
- 品種名:
ミッション: カリフォルニア州原産。国内の主力品種。果実加工(新漬け)とオイルの両方に適する万能種。
マンザニロ: スペイン原産。果実が丸く大きく、果肉が厚いため、ピクルスや塩蔵などの果実加工(テーブルオリーブ)に最適。
ルッカ: イタリア原産とされる。油の含有率が高く、主にオイル用とされるが、フルーティーな風味で料理用にも適する。
ネバディロ・ブランコ: スペイン原産。開花期間が長く、花粉が多いため受粉樹として重要。主にオイル用。
セビラノ: スペイン原産の超大粒品種。果肉が軟らかいため、慎重な塩蔵加工が必要とされる。
- 分類:モクセイ科オリーブ属
- 学名:Olea europaea L.
由来
英語の olive は、ラテン語の oliva、ギリシャ語の elaia に由来するといわれている。
伝来
江戸時代末期(1860年代)にフランスから苗木が輸入され、横須賀で栽培が試みられたのが最初とされる。明治時代に入り、政府が神戸、三重、鹿児島などで試験栽培を行ったが失敗。1908年(明治41年)、農商務省の試験地に選ばれた香川県、三重県、鹿児島県のうち、香川県小豆島に植えられた苗木だけが順調に育ち、日本での栽培定着の礎となった。
歴史背景
紀元前数千年から地中海沿岸地域で栽培され、聖書やギリシャ神話にも登場する「平和と繁栄」の象徴。古代よりランプの燃料、食用、化粧用、薬用として人々の生活に不可欠な存在であった。日本での歴史は浅いが、近年は健康志向の高まりとともに需要が拡大している。
備考
観賞用としても人気が高いが、オリーブは基本的に「自家不和合性(自分の花粉では受粉しにくい性質)」が強いため、実を収穫するためには異なる2品種以上を近くに植える必要がある。

