選び方・調理法
選び方
生の実であれば、皮に張りと光沢があり、持ったときに重みがあるものを選ぶ。乾燥品は、虫食い穴がなく、極端に軽量化していないもの(中身が詰まっているもの)が良い。
下処理
非常に強い渋み(サポニン、タンニン等)を持つため、高度なアク抜きを要する。一般的には、収穫後に水に漬けて虫出しをし、天日乾燥させた後、数日間水に浸して戻す。その後、木灰を用いた強アルカリ性の溶液(灰汁)に数日間漬け込み、さらに流水でさらす工程を経てようやく食用となる。
保存方法
完全に乾燥させた種子は、風通しの良い冷暗所でネットなどに入れて吊るすか、防虫剤を入れた密閉容器で保存する。アク抜き後の状態であれば、小分けにして冷凍保存が可能。
時期・特徴
国内分布
北海道、本州、四国、九州の山地に自生。特に東北地方や北陸、中部地方などの多雪地帯に多く分布する。
時期
収穫時期は9月中旬〜10月頃。乾燥貯蔵されたものは年間を通じて流通・利用される。
栄養
主成分はデンプン。カリウム、カルシウム、食物繊維を豊富に含む。特徴的な成分として、抗酸化作用のあるポリフェノール(タンニン)や、苦味成分であるサポニンが含まれる。
特徴
日本固有種のトチノキの種子。外観はクリに似るが、特有の強い苦味と渋味があり、生食はできない。アク抜きには熟練の技術を要するが、処理後は独特の風味と粘り気が生まれる。蜜源植物としても優秀で、トチの花から採れる蜂蜜は香りが高く人気がある。
品種・由来
- 品種名:トチノキ
- 分類:ムクロジ科(旧トチノキ科)トチノキ属
- 学名:Aesculus turbinata Blume
由来
実がたくさん成ることから「十(と)千(ち)」と呼んだ説や、アイヌ語の「トチ」に由来する説、また「大きくそびえ立つ木」を意味する古語に由来する説など諸説ある。
伝来
日本在来種。古来より日本の山間部における重要な野生食用資源であった。
歴史背景
縄文時代の遺跡から多くの貯蔵穴が見つかっており、当時から主食の一部として利用されていた。稲作が困難な山岳地帯では、近世までトウモロコシやヒエ等と並ぶ重要な生存食糧であり、飢饉の際の救荒食物としても日本人の食を支えてきた歴史がある。
備考
近縁種の「セイヨウトチノキ(マロニエ)」の実も同様の形状だが、日本のトチノキに比べさらにサポニン等の含有量が多く、食用には適さないとされるのが一般的である。主な用途は、もち米と共に蒸してつく「とち餅」や、トチの実を用いた煎餅、粥など。

