選び方・調理法
選び方
用途に合わせて主原料を確認して選ぶ。和食の酢の物や寿司には旨味の強い「米酢」、煮物や中華料理など汎用性を求めるならですっきりした「穀物酢」、洋風のドレッシングやマリネには「ワインビネガー」や「リンゴ酢」が適する。原材料がシンプルで、じっくり発酵・熟成させた「静置発酵法」のものは、酸味が角立たず風味が豊かである。
下処理
食材の変色防止(レンコンやゴボウの酢水さらし)、魚の小骨を柔らかくする、肉のタンパク質を分解して食感をソフトにするなどの効果がある。また、塩味を引き立てる「対比効果」や、脂っこさを和らげる「変調効果」を活かして仕上げに少量加える手法も有効である。
保存方法
殺菌力が強いため、未開封・開封後ともに直射日光を避けた冷暗所での常温保存が可能。ただし、果汁を多く含むポン酢や、だし・糖類を配合した「合わせ酢(加工酢)」、およびワインビネガーなどは酸化や風味の劣化を防ぐため、開封後は冷蔵庫での保管が望ましい。
時期・特徴
国内分布
全国各地で生産。特に鹿児島県の「黒酢(壺造り)」、京都府の「米酢」など、伝統的な製法を守る地域に特色ある製品が多い。
時期
通年
栄養
主成分である酢酸のほか、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸などの有機酸や、原料由来のアミノ酸、ビタミンB群、ミネラルを微量に含む。
唾液や胃液の分泌を促進し、食欲を増進させる。
糖分(グリコーゲン)とともに摂取することで、疲労回復をサポートするとされる。
強力な殺菌・静菌作用があり、食中毒菌の増殖を抑える。
特徴
酒が酢酸菌の働きによって発酵したもので、「人類が作り出した最古の調味料」とも称される。酸味の付与だけでなく、食材の保存性を高め、生魚の臭みを消す(消臭効果)、野菜の食感を良くするなどの多彩な調理効果を持つ。醸造酢と、氷酢酸を希釈し調味料を加えた合成酢に大別されるが、現在は醸造酢が主流である。
品種・由来
- 品種名:米酢、穀物酢、米黒酢、リンゴ酢、ワインビネガー、バルサミコ酢
- 分類:醸造酢(調味料)
- 学名:Acetobacter aceti(酢酸菌)
由来
フランス語の「Vinaigre」は、vin(ワイン)+aigre(酸っぱい)に由来する。日本語の「酢」も、古くは「酒」から転じた言葉とされ、酒が酸敗してできたものという認識が語源となっている。
伝来
日本へは4〜5世紀頃、応神天皇の時代に醸造技術とともに中国から伝わったとされる。『万葉集』には「醤(ひしお)に酢(す)混ぜて」という記述があり、平安時代の『延喜式』には米や米麹を用いた具体的な製法が記されている。
歴史背景
紀元前5000年頃のバビロニア(メソポタミア)では、ナツメヤシや干しぶどうから酢が作られていた記録がある。日本では江戸時代に「赤酢(酒粕酢)」が開発されたことで、それまで高価だった酢が普及し、現代の握り寿司の発展に大きく寄与した。
備考
「酢を飲むと体が柔らかくなる」という説に科学的根拠はないが、調理において魚の骨を柔らかくする性質と混同されたものと推察される。また、バルサミコ酢のようにブドウ果汁を長期間木樽で熟成させるものや、柑橘果汁を用いたポン酢など、地域や文化により形態は極めて多岐にわたる。

