選び方・調理法
選び方
一般的な食用ではなく、主に日本酒の醸造に特化した「酒造好適米」として流通する。米粒が大きく(千粒重が大きい)、中心部に白く濁った「心白(しんぱく)」がしっかり入っているものが優良とされる。タンパク質や脂質が少ないものが雑味のない酒造りに適している。料理用として購入する場合は、銘柄や精米歩合によって米の性質(吸水性や煮崩れしやすさ)が変わる点に留意する。
下処理
醸造に用いる場合、雑味の元となる表面のタンパク質や脂質を取り除くため、高度な精米が行われる。洗米・浸水は「限定吸水」と呼ばれ、秒単位で吸水時間を厳密に管理して水分量を調節するのが一般的。料理(リゾットやパエリアなど)に流用する場合、粘りが少ない特性を活かすため、洗わずにそのままスープを吸わせる調理法に向くとされる。
保存方法
通常の米と同様に、高温多湿を避け、風通しの良い冷暗所で保存する。精米済みのものは酸化による風味の劣化や水分量の変化が起こりやすいため、密閉容器に入れ、温度変化の少ない冷暗所(または冷蔵庫の野菜室など)で保管するのが最適とされる。
時期・特徴
国内分布
兵庫県(山田錦など)、新潟県(五百万石など)、長野県(美山錦など)、岡山県(雄町など)をはじめ、全国の酒造地周辺で栽培されている。近年は、各都道府県が独自の気候風土に合わせたオリジナル酒米を開発する動きも活発である。
時期
一般の食用米(うるち米)よりも背丈が高く倒伏しやすいため、成熟に時間がかかり、収穫期はやや遅い秋(主に10月〜11月頃)となることが多い。収穫・乾燥・精米を経て、主に冬季(寒造り)の酒造りに用いられる。
栄養
食用米と比較して、雑味の原因となるタンパク質や脂質の含有量が少なく、でんぷんの割合が高い。この成分組成が、クリアで香り高い酒質を生み出す重要な要因とされる。
特徴
米粒が大きく、中心部に「心白(しんぱく)」と呼ばれるデンプン質が粗く詰まった(すき間があるため白く見える)部分があるのが最大の特徴。心白があることで吸水性が良くなり、麹菌の菌糸が米の中心まで入り込みやすく、良質な米麹ができる。粘り気が少なくパラパラとしているため、食卓で食べる白飯としてはパサつきやすく不向きとされるが、汁気を吸わせる洋食の米料理などに転用される例もある。
品種・由来
- 品種名:山田錦、五百万石、美山錦、雄町、八反錦、亀の尾 等多数
- 分類:イネ科イネ属
- 学名:Oryza sativa subsp. japonica
由来
日本酒の醸造に特化して選抜・改良された米の総称。古くは良質な食用米が酒造りにも用いられていたが、醸造技術の進歩とともに、より酒造りに適した特性を持つ品種が求められ、農産物検査法における醸造用玄米、いわゆる「酒造好適米」として区別されるようになった。
伝来
日本の稲作文化とともに発展し、各地の気候風土に適した品種が自然交雑や農家・農業試験場の努力によって生み出されてきた。特に大正時代から昭和初期にかけて、人工交配による本格的な品種改良が進んだとされる。
歴史背景
江戸時代に酒造技術が飛躍的に発展し、良質な酒米の産地が形成され始めた。近代に入り、鑑評会などで酒質を向上させる競争が激化するとともに、「山田錦(1936年命名)」などの優れた品種が開発され、現代の吟醸酒ブームを支える基盤となった。
備考
近年では、酒造好適米の特性(大粒で粘りが少なく、スープをよく吸うが煮崩れしにくい)を活かし、イタリアンのリゾットやスペインのパエリア用の米として活用する料理人も見受けられる。また、酒造りの高度な精米過程で削り落とされた「米粉(白糠)」を、菓子やパン、料理の副原料としてアップサイクル(再利用)する取り組みも業界で進められている。

