選び方・調理法
選び方
【生(水煮含む)】
春に出る若芽(栄養葉)を食用とする。茎が太く、短めで、先端の渦巻きが固く締まっているものが良品。表面が綿毛に厚く覆われているものが新鮮である。茎がひょろりと長く伸びているものや、切り口が変色して乾燥しているものは避ける。
※「男ゼンマイ(胞子葉)」と呼ばれる、渦巻き部分が丸く膨らんだものは、硬くて食味が劣るため食用には向かないとされる。
【乾燥品(干しゼンマイ)】
太くて全体に細かいちぢれ(シワ)があり、黒褐色で艶があるものを選ぶ。赤みを帯びているものは古い可能性がある。カビや虫食いがないか確認する。
下処理
アクが非常に強く、チアミナーゼ(ビタミンB1分解酵素)を含むため、必ず適切なアク抜きを行ってから調理する。
【生のゼンマイ:アク抜き】
綿毛を取り除き、根元の硬い部分を切り落として水洗いする。
たっぷりの湯を沸かし、重曹(水1Lに対し小さじ1/2程度)または木灰を加える。
ゼンマイを入れ、再沸騰したらすぐに火を止め、落とし蓋をしてそのまま一晩(8〜10時間)茹で汁の中で冷ます。
水洗いして水を替えながらさらにさらし、好みの硬さになるよう調整する。
【干しゼンマイ:戻し方】
手間をかけて丁寧に戻すことで、ふっくらとした極上の食感となる。
たっぷりの水を入れた鍋に干しゼンマイを入れ、火にかける。
沸騰する直前で火を止め、蓋をしてそのまま冷めるまで置く。
水を替え、再び火にかけ、沸騰直前で止めて冷ます。これをゼンマイがふっくらと太り、柔らかくなるまで2〜3回繰り返す(急ぐと芯が残ったり、表面が溶けたりするため注意)。
最後は水につけておき、調理に使用する。
保存方法
生(アク抜き前): 日持ちしないため、入手した当日にアク抜きを行う。
水煮(アク抜き後): 水に浸して冷蔵保存し、毎日水を替えれば2〜3日保存可能。
干しゼンマイ: 湿気を嫌うため、乾燥剤と共に密閉容器や保存袋に入れ、冷暗所で保存する。正しく保存すれば1年以上持つ。
時期・特徴
国内分布
北海道から沖縄まで日本全国の山野に自生する。
商業的な主要産地は山形県、新潟県、秋田県などの雪国が多い。「山形おきたまの干しわらび・干しぜんまい」のように特産品化されている地域もある。
時期
天然物(生): 4月中旬〜5月下旬(寒冷地や高地では6月頃まで)。
乾燥品・水煮: 通年流通している。
栄養
乾燥品はミネラルや不溶性食物繊維が凝縮されており、栄養価が高い。
生のゼンマイには、ビタミンB1を分解する酵素(チアミナーゼ)が含まれているため、生食は避け、必ず加熱処理を行う必要がある。また、発がん性物質(プタキロサイド)が含まれるとされるが、重曹や灰を用いた適切なアク抜き処理により除去されるため、通常の食用においては問題ないとされる。
特徴
ワラビと並ぶ代表的な山菜。湿り気のある場所を好む。
最大の特徴は、手間ひまかけて作られる「干しゼンマイ」にある。収穫したゼンマイを茹でた後、筵(むしろ)の上で何度も手で揉み込みながら天日で乾燥させる。この「揉み」の工程により、繊維が柔らかくなり、戻した時に独特のコリコリとした歯ごたえと味染みの良さが生まれる。
ナムル、白和え、煮物など、油や出汁との相性が非常によい。
品種・由来
- 品種名:特になし(天然および栽培)
※「赤ゼンマイ」「青ゼンマイ」と呼び分けられることがあるが、茎の色による違いであり種は同じである。一般に赤ゼンマイの方が太く柔らかく上質とされる。
- 分類:ゼンマイ科ゼンマイ属
- 学名:Osmunda japonica
由来
若芽が渦を巻いている様子が古銭に似ていることから「銭巻き(ぜにまき)」となり、それが転訛して「ゼンマイ」になったという説が有力である。
伝来
日本在来種であり、古くから全国各地で採取・利用されてきた。
歴史背景
『万葉集』などの歌集には登場しないが、古くから山村の重要な保存食、換金作物として利用されてきた。江戸時代には乾燥技術が確立していたと考えられ、各地の特産品として流通した。
かつては、ゼンマイの根茎から繊維を取り出して織物(ゼンマイ織り)にしたり、綿毛を布の詰め物として利用したりと、食料以外の用途でも生活に根付いていた。
(※注:根茎からデンプンを取ることもあるが、一般的に「わらび粉」と呼ばれるのはワラビの根茎由来であり、ゼンマイとは異なる)
備考
別名:ゼンメ、ゼンマ
英語名:Asian Royal Fern, Japanese Royal Fern, Zenmai
※近縁種の Osmunda regalis (Royal Fern) は欧米にも分布するが、日本で食される Osmunda japonica とは別種扱いされることが多い。
山での採取にあたっては、資源保護のため「男ゼンマイ(胞子葉)」は残し、「女ゼンマイ(栄養葉)」のみを採るのがマナーとされる。
