選び方・調理法
選び方
葉先までみずみずしく、全体にハリがあるものを選ぶ。株元が太くしっかりしており、切り口が変色していないものが良品とされる。一般に、葉が開く前の「筆」のような状態のものは香りが極めて強く、葉が開くにつれて香りは穏やかになり、食感に柔らかさが出る。用途や好みに合わせて選ぶのが望ましい。
下処理
株元の赤い鞘(はかま)の部分に土や砂が入り込みやすいため、流水で一本ずつ丁寧に洗う。赤い鞘は食感が悪いため、調理前に指先で剥き取る。特有の香気成分であるアリシンを活性化させるため、切った後に少し時間を置くとより風味が引き立つ。
保存方法
乾燥に弱いため、湿らせた新聞紙などで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で立てて保存する。鮮度劣化が早いため、2〜3日以内に使い切るのが基本である。長期保存する場合は、硬めに塩ゆでして水気を切り、小分けにして冷凍するか、生のまま醤油に漬け込む「醤油漬け」にすると数ヶ月から一年ほど保存が可能になる。
時期・特徴
国内分布
北海道、本州(近畿以北、特に東北地方や中部地方の山岳地帯)に自生する。
時期
4月中旬から5月下旬。地域や標高により差があるが、雪解けとともに芽吹く時期が旬とされる。
栄養
ビタミンB1の吸収を助けるアリシン(硫化アリルの一種)を豊富に含み、滋養強壮や疲労回復に効果があるといわれる。その他、β-カロテン、ビタミンC、葉酸、食物繊維を多く含み、香気成分であるメチルアリルジスルフィドやジアリルジスルフィドには抗菌作用や抗酸化作用が期待されている。
特徴
ネギ属の多年草で、種から食用に適する大きさに育つまで5〜8年を要する。かつては野生の山採り品が主流であったが、近年は北海道や長野県などで栽培技術が確立され、市場流通も増えている。独特の強いニンニク臭が特徴で、山菜の中でも特に嗜好性が高い。乱獲により自生数が減少している地域もあり、保護の対象となる場合もある。
品種・由来
- 品種名:ギョウジャニンニク
- 分類:ヒガンバナ科ネギ属(旧ユリ科)
- 学名:Allium victorialis L. var. platyphyllum Makino
由来
厳しい修行を行う行者(山伏)が、荒行に耐えるための体力をつけるために食べたことに由来するといわれる。一方で、逆にこれを食べると精がつきすぎて修行の妨げになるため、食べることを禁じられたからという説も存在する。
伝来
日本列島、朝鮮半島、サハリン、シベリア、中国などに分布する東アジア原産の在来種である。
歴史背景
北海道では先住民族であるアイヌの人々が古くから「キト」「プクサ」などと呼び、貴重な春の栄養源や民間薬として重宝してきた歴史がある。このため現在でも「アイヌネギ」という別名で親しまれている。
備考
生育環境が似ているスズランやバイケイソウ、イヌサフランといった有毒植物と葉の形状が酷似しており、毎年のように誤食による食中毒事故が発生している。野生のものを採取・使用する際は、独特のニンニク臭があるかを確認するなど細心の注意が必要である。
