選び方・調理法
選び方
皮を剥いでいないものは、目が黒く澄み、体の模様が鮮明で、体表のざらつき(皮の質)がしっかりしているものを選ぶ。第1背鰭(角)の周囲や腹部がふっくらと膨らんでいる個体は、肝が肥大している可能性が高く、市場価値が高い。剥き身(皮なし)で売られる場合は、身に透明感と弾力があり、肝が崩れず鮮やかな淡いピンク色(または薄黄色)をしているものが新鮮である。身が白濁し、肝が溶けかかっているものは避ける。
下処理
第1背鰭(角)を切り落とし、口先を落とした後、その切り口から皮の端を掴んで尾の方へ一気に引き剥がす。内臓を取り出す際は、最大の価値とされる肝を傷つけないよう慎重に行い、特に苦玉(胆嚢)を潰さないよう細心の注意を払う。肝は薄い塩水で血抜きをし、酒で洗うなどの処理を行うことで臭みが抑えられる。
保存方法
鮮度劣化が早いため、入手後は速やかに皮を剥ぎ、内臓と身を分ける。身は水分をよく拭き取り、ラップで包んで冷蔵保存する。肝は特に傷みやすいため、当日中に消費するのが望ましい。保存する場合は、下処理後にペーパータオルで包み、密閉容器に入れてチルド室で保管するが、翌日以降は加熱調理に回すのが一般的とされる。
時期・特徴
国内分布
北海道以南の日本各地の沿岸域に分布する。特に本州中部以南の岩礁域や砂礫底に多く生息し、定置網や刺し網、釣りなどで漁獲される。
時期
食用としては、肝が大きく肥大する秋から冬(11月〜2月頃)が「肝パン」と呼ばれ、最も珍重される。一方、産卵を控えた初夏から夏にかけては身の質が良くなるため、料理人によってはこの時期を好む場合もある。
栄養
身は高タンパク・低脂肪、かつ低カロリーな白身で、消化にも優れる。一方、肝臓は非常に脂肪分が豊富で、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEなどの脂溶性ビタミンを多く含んでいる。
特徴
体高が高く側扁した菱形の体型をしており、第1背鰭が強い棘(角)状に発達している。最大の特徴である肝臓の美味しさから「海のフォアグラ」とも称される。身は透明感のある白身で、フグに似た適度な歯ごたえと上品な甘みを持つ。生食の際は「肝和え」や、肝を醤油に溶いた「肝醤油」で食すのが醍醐味とされる。
品種・由来
- 品種名:カワハギ(本カワハギ)
- 分類:フグ目カワハギ科カワハギ属
- 学名:Stephanolepis cirrhifer
由来
皮が非常に丈夫で堅く、料理の際にまず皮を剥がして調理することから「皮剥ぎ(カワハギ)」の名が付いた。地方によっては「ハゲ」「メイボ」「ギチ」などとも呼ばれる。
伝来
日本近海に広く生息する在来種。古くから沿岸部で食用とされ、庶民的な魚として親しまれてきた歴史がある。
歴史背景
江戸時代の百科事典『和漢三才図会』(1712年)には「形は醜いが、味はフグに似て美味」といった趣旨の記述があり、古くからフグの代用としても認識されていた。また、そのザラザラとした堅い皮は、やすり(サンドペーパー)の代用品として木工品の研磨や、わさびおろしとして利用されていた時代もある。
備考
近縁種の「ウマヅラハギ」や「ウスバハギ」と混同されることがあるが、本種はより体高が高く、菱形に近い形状をしている。市場では本種が最も高値で取引される。
