選び方・調理法
選び方
殻付き: 殻がふっくらと丸みを帯びた三角形で、表面にツヤがあり、模様が鮮明なもの。2個を打ち合わせた際に「カチカチ」と高く澄んだ音がするものが新鮮で、低く鈍い音のするものは死んでいる、あるいは鮮度が落ちている可能性がある。
むき身: 貝柱がしっかりと殻についているもの、身全体に透明感と弾力があり、色がくすんでいないものを選ぶ。
下処理
砂抜き: 3%程度の塩水(海水と同程度)に入れ、暗所に数時間置いて砂を吐かせる。
塩抜き: 砂抜き後、真水に30分ほど浸すと余分な塩分が抜ける。その後、殻同士をこすり合わせて汚れを落とす。
焼きはまぐりのコツ: 蝶番付近にある黒い「靱帯(じんたい)」を包丁で切り取っておくと、加熱しても殻が開かず、中の美味しい汁がこぼれにくい。
保存方法
砂抜き・洗浄後に水気を拭き取り、濡れ新聞紙やキッチンペーパーで包んで冷蔵庫で保存。2〜3日中に使い切るのが望ましい。
長期保存する場合は、砂抜き後に殻ごと冷凍保存が可能。加熱調理の際は凍ったまま使用する。
時期・特徴
国内分布
日本固有種のハマグリ(M. lusoria)は、かつて全国の内湾に分布していたが現在は激減しており、主な産地は熊本県や三重県(伊勢湾)などに限られる。
市場に多く流通するのは、外洋性の在来種「チョウセンハマグリ」や、中国・韓国からの輸入品である「シナハマグリ」である。
時期
旬:12月〜4月頃(冬から春)
産卵期(5月〜8月)を前に身が太る時期が最も美味とされる。特に「ひな祭り」の時期は需要のピークとなる。
栄養
鉄分、亜鉛、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルが豊富。
旨味成分であるコハク酸、グルタミン酸、グリシンを多く含み、相乗効果により非常に濃厚な出汁が出る。
肝機能をサポートするタウリンも豊富に含まれる。
特徴
殻は厚く滑らかで、対になった殻以外とは決して合わさらない性質を持つ。このことから「夫婦和合」の象徴とされ、結婚式やひな祭りの祝膳には欠かせない縁起物となっている。
加熱しすぎると身が硬くなりやすいため、殻が開いたらすぐに火を止めるのが調理の鉄則。
品種・由来
- 品種名:ハマグリ(文蛤)
- 分類:二枚貝綱異歯亜綱マルスダレガイ目マルスダレガイ科ハマグリ属
- 学名:Meretrix lusoria
由来
浜にある栗のような形の貝であることから「浜栗(はまぐり)」と呼ばれたとする説。
浜に転がる小石(クリ・グリ)に似ていることから名付けられたとする説がある。
伝来
日本近海の在来種。縄文時代の貝塚から多くの殻が出土しており、古くから重要な食用資源であったことが証明されている。
歴史背景
江戸時代には「その手は桑名の焼き蛤」という洒落が生まれるほど、伊勢湾(桑名)の焼きはまぐりは東海道の名物として知られていた。
古くは「貝合わせ」の遊びに用いられ、貴族の間で美しく装飾された貝殻が珍重された。
備考
「ぐれる」の語源: ハマグリの殻をひっくり返すと合わないことから、物事が食い違うことを意味する「はまぐり」を逆さにした「ぐりはま」という言葉が生まれ、それが転じて「ぐれる(道を外れる)」という言葉になったとされる。
チョウセンハマグリ: 「朝鮮」の名が付くが外来種ではなく、日本の外洋に生息する在来種。碁石(白)の最高級原料として使われる。
