選び方・調理法
選び方
エイは鮮度が低下すると体内の尿素がアンモニアに分解され、特有の刺激臭を発する。そのため、アンモニア臭のないものを選ぶのが鉄則である。切り身(むき身)で流通することが多いため、皮を剥いた胸ビレの身が鮮やかな淡い赤色や桃色をしており、透明感があるものがよい。身に弾力があり、表面の粘液が白濁していないものが新鮮とされる。
下処理
独特のぬめりと臭みを取り除くため、塩をふって揉み洗いした後、熱湯をさっとかける「湯引き」を行うと仕上がりが良くなる。刺身で食す場合は、鮮度が高いものを選び、薄く引いてから氷水で締める「洗い」にすると食感が際立つ。軟骨は可食部であり、加熱すると独特のコリコリとした食感が楽しめる。
保存方法
水分を拭き取り、ラップで密閉して冷蔵保存する。鮮度劣化とともにアンモニア臭が強まるため、購入した当日、遅くとも翌日には使い切ることが望ましい。長期保存する場合は、下処理後に冷凍保存も可能だが、風味は落ちやすいため注意を要する。
時期・特徴
国内分布
日本近海全域に分布。食用としては、関東以西では「アカエイ」、北海道や東北地方では「メガネカスベ(マカスベ)」や「ドブカスベ(水カスベ)」が主に流通する。
時期
種類や地域により異なるが、一般的にアカエイは身が厚くなる夏から秋、メガネカスベなどのカスベ類は冬が旬とされる。
栄養
高タンパク・低脂質で低カロリーな食材である。軟骨や皮の部分にはコラーゲンが豊富に含まれており、煮付けにすると煮汁が冷えて「煮こごり」となる。また、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンEなども含まれている。
特徴
サメと同じ軟骨魚類に属し、骨格が軟骨で構成されているため、骨ごと食べられるのが最大の特徴である。体型は上下に扁平で、胸ビレが発達して菱形や円盤状を成す。
アカエイ: 尾を除いた体長が1mに達するものもあり、肉質は淡白でクセが少ない。加熱しても身が硬く締まりにくいため、煮付けのほかムニエルや唐揚げにも適する。
メガネカスベ: 北日本で「カスベ」といえば本種を指すことが多い。主にヒレの部分が食用とされ、煮付けや「エイヒレ」の原料として重宝される。
品種・由来
- 品種名・分類・学名
- 品種名:アカエイ(赤鱏)、メガネカスベ(目鏡糟辺)
- 分類:軟骨魚綱板鰓亜綱 エイ目(アカエイ科アカエイ属 / ガンギエイ科メガネカスベ属)
- 学名:Hemitrygon akajei(アカエイ)、Beringraja pulchra(メガネカスベ)
由来
「エイ」の語源は、その長い尾から「燕尾(エビ)」が転訛したという説や、形が「団扇(ウチワ)」に似ていることから「エ(柄)」に関連するという説がある。
「カスベ」の由来は、かつて大量に獲れて安価だったことから「魚のカス(滓)」のように扱われたとする説や、アイヌ語で「しゃもじ」を意味する「カシュプ」に由来するという説がある。
伝来
日本近海に広く自生・生息する在来種である。
歴史背景
日本では古くから食用とされ、江戸時代の百科事典『和漢三才図会』にも記載がある。特に関東の江戸前料理では、アカエイを煮た「エイ汁」が滋養強壮に良いとして親しまれた歴史がある。韓国では「ホンオフェ」として、エイをあえて発酵させて強いアンモニア臭を出す伝統的な食文化が根付いている。
備考
主な料理には、煮付け、煮こごり、唐揚げ、ムニエル、味噌汁、酢みそ和え(ぬた)などがある。加工品としては、ヒレを乾燥させた「エイヒレ」が居酒屋の定番として普及している。また、皮は「エイ革(スティングレイ)」として工芸品や刀の柄巻に利用される。
