選び方・調理法
選び方
切り身の場合は、皮に艶があり、身にハリと弾力があるものを選ぶ。背側の斑点が鮮明で、血合いの色がくすんでいないものが新鮮。一尾で購入する場合は、目が澄んでいて体が太く、腹側にしっかりとした硬さがあるものが良い。サワラは腹側の皮が非常に薄いため、腹が割れていないことも重要な鮮度の指標となる。
下処理
身質が非常に柔らかく「身割れ」しやすいため、包丁の扱いや持ち運びは丁寧に行う。独特の臭みを抑え、身を締めるために、調理前に軽く塩を振って余分な水分を出す「振り塩」が効果的である。皮が薄く香ばしいため、皮目を活かした調理に向くが、小骨が多いため抜く際は身を崩さないよう注意を払う。
保存方法
鮮度劣化が早いため、生食以外は速やかに加熱調理するか、下処理を施す。切り身は水気を拭き取り、1切れずつラップで密閉して冷蔵または冷凍する。西京味噌や粕に漬け込む「漬け魚」にすることで、身が締まるとともに保存性が高まり、サワラ特有の上品な脂の旨味が引き立つ。
時期・特徴
国内分布
福井、京都、石川、福岡、長崎、山口、岡山、香川など。日本近海から黄海、東シナ海に広く分布する。特に瀬戸内海や日本海沿岸での漁獲が盛んである。
時期
地域によって「旬」の定義が異なる。瀬戸内海を中心とした西日本では、産卵のために沿岸へ寄る春(3月〜5月)が「春を告げる魚」として珍重される。一方、関東近海や日本海側では、産卵前で最も脂が乗る冬(12月〜2月)の「寒サワラ」が最高級とされる。
栄養
良質なタンパク質のほか、カリウムを豊富に含み、体内の塩分排出を助ける。また、脂質にはEPAやDHAが多く、ビタミンD、ビタミンB2、ナイアシンなどのビタミン群もバランスよく含まれている。
特徴
サバ科に属するが、身は白っぽく淡泊で、味わいは白身魚に近い(分類上は赤身魚)。成長するにつれて呼び名が変わる出世魚で、一般に50cm以下を「サゴシ」、50〜70cmを「ヤナギ」、70cm以上を「サワラ」と呼ぶ。成魚は最大で1mを超える。身が柔らかく崩れやすいため、刺身だけでなく、焼き物、蒸し物、揚げ物など幅広い料理に適応する。
品種・由来
- 品種名:サワラ(鰆)
- 分類:スズキ目サバ科サワラ属
- 学名:Scomberomorus niphonius
由来
腹が狭く細長い体型をしていることから「狭腹(さわら)」と呼ばれたことに由来する。漢字の「鰆」は、春に産卵のため沿岸に現れ、よく獲れたことにちなむ国字である。
伝来
日本近海の在来種。古くから重要な食用魚とされ、特に関西地方では春の訪れを象徴する魚として食文化に深く根付いている。
歴史背景
江戸時代から庶民にも親しまれた魚であり、その上品な味わいから「魚偏に春」と書く美しい名とともに重宝されてきた。また、香川県などの瀬戸内地域では、かつてサワラの卵巣を用いて「カラスミ」が作られ、将軍家への献上品とされていた歴史がある。
備考
原産地:北西太平洋(日本近海、黄海、東シナ海)
主な調理法:刺身、たたき、西京焼き、塩焼き、柚庵焼き、天ぷら
