選び方・調理法
選び方
体表のヌメリに透明感があり、皮にツヤがあるものを選ぶ。ヌメリが白濁しているものは鮮度が落ちている可能性がある。一般的に1kg前後の雌が身質と脂のバランスが良いとされるが、用途によっては小ぶりのものが好まれることもある。活魚の場合は腹に張りと厚みがあり、活発に動くものが良質。活け締め(神経抜き)されたものは、身に弾力が残っているものを選ぶ。
下処理
皮と身の間に非常に硬く複雑な小骨が無数にあるため、「骨切り」という特殊な技法が不可欠である。まず腹から開いて内臓と背びれ、腹骨を取り除く。その後、皮を切らずに身の深さまで数ミリ間隔で細かく包丁を入れる。熟練の技術では「一寸(約3cm)につき24回」包丁を入れるのが理想とされ、これにより小骨を断ち切り、口当たりの良い食感を生み出す。
保存方法
骨切り後の身は非常に傷みやすいため、水分を拭き取り、空気に触れないようラップ等で密閉して冷蔵保存する。長期保存する場合は、急速冷凍を行う。ただし、家庭用冷凍庫では細胞が壊れやすいため、基本的には当日中の調理が望ましい。
時期・特徴
国内分布
本州中部以南に分布する。主な産地は兵庫県(淡路島)、徳島県、愛媛県、山口県、長崎県、和歌山県など。韓国や中国からも輸入され、市場流通の大きな割合を占めている。
時期
「梅雨の水を飲んで旨くなる」と言われ、産卵を控えて脂がのる6月〜7月が第一の旬とされる。この時期は京都の祇園祭や大阪の天神祭と重なり、夏を象徴する食材となる。産卵後の秋には再び食欲が増し、体に脂を蓄えた「落ちハモ(名残ハモ)」が第二の旬を迎え、松茸などと共に珍重される。
栄養
良質なタンパク質が豊富で、皮部分にはコンドロイチンやコラーゲンが多く含まれる。脂質にはEPAやDHAなどの不飽和脂肪酸を含み、ビタミンA(レチノール)、ビタミンE、カルシウムも比較的多く、夏バテ防止に適した滋養強壮効果の高い食材とされる。
特徴
ハモ科に属し、最大で全長2m近くに達する。非常に攻撃的な性質で、鋭く発達した歯を持つ。鱗はなく、体表は強い粘液で覆われている。白身で淡泊ながらも、加熱することで脂の甘みと旨みが引き立つ。関西、特に京都や大阪の食文化において極めて重要な地位を占めるが、これは生命力が強く、輸送技術が未発達だった時代に内陸の京都まで生きたまま運べた数少ない魚であったことに由来する。
品種・由来
- 品種名:ハモ(鱧)
- 分類:ウナギ目ハモ科ハモ属
- 学名:Muraenesox cinereus
由来
諸説あるが、鋭い歯で何にでも噛み付くことから「食(は)む」が転じたとする説や、生命力が強く「食(は)み」に勢いがあることに由来する説が有力。また、姿が蛇に似ていることから「蛇(じゃ)持ち」が転じたとする説もある。
伝来
古くから日本の近海で生息しており、縄文時代の貝塚からも骨が発見されている。平安時代の書物にも記載があり、古くから日本人に親しまれてきた。
歴史背景
江戸時代、京都において夏場の貴重なタンパク源として重宝された。骨が多く調理が困難な魚であったが、独自の「骨切り」技術が確立されたことで、京料理を代表する高級食材へと昇華した。京都の祇園祭は別名「鱧祭り」とも呼ばれ、この時期の家庭や料亭で欠かせない料理となっている。
備考
東北や北海道など一部の地域では、マアナゴを「ハモ」と呼ぶ習慣があるため、取引の際は標準和名の「ハモ」であることを確認する必要がある。また、近縁種に「スズハモ」があり、市場では混在して流通することもある。
