選び方・調理法
選び方
魚体に張りがあり、背側が黒ずんだ灰青色、腹側が銀白色に輝いているものを選ぶ。鱗が剥がれておらず、体表に適度な透明感のある粘液(ヌメリ)が残っているものが新鮮である。目が澄んでいて、エラが鮮紅色であることも重要。身の厚みが肩口から尾の付け根までしっかりとあり、全体的に肉付きが良い個体は脂の乗りが期待できる。
下処理
鱗が大きく硬いため、鱗取りで丁寧に取り除く。背鰭の棘が鋭いため、調理の際は怪我をしないよう注意を要する。身質が繊細で水分が多いため、三枚おろしにする際は身を傷つけないよう慎重に行う。代表的な「洗い」にする場合は、そぎ切りにした身を氷水で素早く振り洗いし、身を引き締めるとともに余分な脂を落とし、清涼感を出す。
保存方法
鮮度劣化に伴い独特の磯臭さが出やすいため、購入後は速やかに水洗いし、内臓と血合いを完璧に取り除く。水気を拭き取った後、ペーパータオルとラップで包み、冷蔵庫のチルド室で保存する。活魚の場合は、活け締め・血抜きを施すことで、白身の美しさと食味を長く保つことができる。
時期・特徴
国内分布
北海道南部から九州までの日本各地の沿岸、河口域に広く分布する。主な産地は千葉県(東京湾)、兵庫県(瀬戸内海)、愛知県(伊勢湾)、福岡県、大阪府など、内湾を持つ地域に多い。
時期
「夏のスズキ」と言われるように、6月〜8月の夏季が最大の旬である。この時期は産卵を控えて脂が非常に乗る。一方、秋から初冬にかけて産卵のために南下する個体は、卵巣や精巣が発達して「太腹(たふくら)」と呼ばれ、珍重される。
栄養
良質なタンパク質を豊富に含む一方で、脂質は控えめな白身魚である。脂質にはn-3系脂肪酸であるEPAやDHAが含まれる。特筆すべきはビタミンA(レチノール)の含有量で、他の白身魚と比較しても多い傾向にある。また、代謝を助けるビタミンDやビタミンB群もバランス良く含まれている。
特徴
体型は細長く側扁し、大きな口が特徴的である。典型的な出世魚であり、関東ではセイゴ(30cm未満)、フッコ(30〜60cm前後)、スズキ(60cm以上)と呼び名が変わる。身は透明感のある白身で、熱を加えても硬くなりにくく、上品な旨味がある。淡水域にも進入する性質があるため、生息域によっては身に特有の臭みを持つ場合があるが、外洋に近いものや適切に処理されたものは非常に美味である。
品種・由来
- 品種名:スズキ(鱸)
- 分類:スズキ目スズキ科スズキ属
- 学名:Lateolabrax japonicus (Cuvier, 1828)
由来
諸説あるが、身がすすぎ洗いをしたように白く美しいことから「ススギ(進き)」が転じたという説や、鱗が煤(すす)を塗ったように黒ずんでいることから「ススき」と呼ばれたという説、また「清(きよ)し」から来ているという説などがある。
伝来
日本近海の在来種であり、古くから重要な食用魚として扱われてきた。日本各地の貝塚からも骨が発見されており、縄文時代から食されていたことが判明している。
歴史背景
『古事記』や『万葉集』にもその名が登場し、古くから日本人の食文化と深く結びついてきた。江戸時代には「江戸前」を代表する魚の一つとして、また武家社会ではその「出世」にあやかった縁起物として、祝儀の席でも好んで用いられた歴史を持つ。
備考
近縁種:
- ヒラスズキ(Lateolabrax latus):体高が高く、主に外洋の岩礁域に生息。冬が旬とされる高級魚。
- タイリクスズキ(Lateolabrax maculatus):中国沿岸原産。体側に黒い斑点があるのが特徴。養殖場から逃げ出した個体が日本国内でも定着している。
主な料理:洗い、刺身、塩焼き、奉書焼き、ムニエル、アクアパッツァ。
