選び方・調理法
選び方
活力が強く、元気に泳いでいるものを選ぶ。体表に艶があり、鱗が剥がれていないもの、目が澄んでいるものが良い。淡水魚特有の泥臭さは、生息環境に左右されるため、水のきれいな場所で獲れたものや、適切に泥抜き(蓄養)されたものを選ぶことが肝要である。
下処理
調理の数日前から清水で飼育し、胃の内容物を排出させる「泥抜き」を行うことで、特有の臭みを除く。鱗は硬く剥がれにくいため、鱗取りや包丁で丁寧に落とす。小骨(Y字型の筋間骨)が非常に多いため、煮物にする場合は長時間加熱して骨を柔らかくするか、刺身(洗い)にする場合は細かく鹿の子状に包丁を入れる「骨切り」の技術が必要となる。
保存方法
基本的には活魚として扱う。泥抜きを終えた後、速やかに調理するのが理想的である。精肉として保存する場合は、水気を完全に拭き取り、ラップで密閉して冷蔵保存するが、鮮度の低下とともに臭みが出やすいため、早めに消費する。
時期・特徴
国内分布
日本全国の河川、湖沼、ため池などに広く分布。特に滋賀県の琵琶湖には、固有種であるニゴロブナやゲンゴロウブナが生息し、独自の食文化が形成されている。
時期
「寒ブナ」と呼ばれる冬から初春にかけてが旬。この時期は寒気に備えて体に脂を蓄えており、身が締まって臭みも少なく、最も美味とされる。春の産卵期に入ると身質が落ちる。
栄養
高タンパクで脂質が少なく、ヘルシーな白身。カルシウム、鉄、亜鉛などのミネラル分を豊富に含む。また、ビタミンB1やビタミンD、不飽和脂肪酸であるDHAやIPA(EPA)も含まれており、古来より滋養強壮に良い食材とされてきた。
特徴
コイ科フナ属の淡水魚の総称。コイに似るが、口元に髭がないことで区別できる。身は淡白で上品な甘みがあるが、生息域によっては泥臭さが残る場合がある。ギンブナ(マブナ)、ゲンゴロウブナ(ヘラブナの原種)、ニゴロブナなど種類によって食味や用途が異なる。
品種・由来
- 品種名:フナ(鮒)
- 分類:コイ目コイ科フナ属
- 学名:Carassius spp.(ギンブナ:C. auratus langsdorfii、ゲンゴロウブナ:C. cuvieri、ニゴロブナ:C. buergeri grandoculis)
由来
「フ」は田を意味し、「ナ」は魚を意味する「田の魚(ふな)」に由来する説や、体に柔軟性があることから「ふにゃふにゃ」が転じた説、また「食う魚(くふな)」から変化した説など諸説ある。漢字の「鮒」は、魚が隊をなして付いて歩く様子(付)から。
伝来
日本近海の在来種。大陸から渡来した金魚やゲンゴロウブナの移入はあるが、基本的には古来より日本各地の淡水域に生息している。
歴史背景
縄文時代の遺跡から多くの骨が発見されており、古くから日本人の貴重なタンパク源であった。特に琵琶湖周辺では、米と塩で発酵させる「なれずし(ふなずし)」が作られ、これは寿司の原形の一つとして知られる。江戸時代には、佃煮や甘露煮、鮒こく(味噌汁)などが庶民の味として親しまれた。
備考
注意点: 肝吸虫(肝臓ジストマ)や有棘顎口虫などの寄生虫が中間宿主として寄生している可能性があるため、野生個体の生食には細心の注意が必要である。一般的には「洗い」にする場合でも、十分に泥抜きされた個体を用い、リスクを考慮して加熱調理(煮付け、塩焼き、唐揚げ等)を行うのが望ましい。
