選び方・調理法
選び方
目が澄んでいて、鰓(えら)が鮮紅色であるもの、体表に透明感のあるヌメリが残っているものが新鮮である。腹部に張りがあり、雌の場合は卵(ブリコ)の膨らみがしっかりしているものが良質とされる。山陰地方などで流通する「干物」の場合は、身に透明感があり、皮に艶があるものを選ぶ。
下処理
鱗(うろこ)がないため、水洗いして表面の汚れと余分なヌメリを落とす程度で調理可能。煮付けや焼き物にする際は、エラ蓋の脇から内臓を抜き取る「つぼ抜き」を行うと、魚体を崩さずに仕上げられる。産卵期の個体は、卵や白子を保持するため、丸ごと調理されることが多い。
保存方法
水分を拭き取った後、ラップで空気に触れないよう密閉し、チルド室で保存する。鮮度落ちが早いため、当日中に消費しない場合は、頭と内臓を除去して塩を振るか、急速冷凍することが望ましい。
時期・特徴
国内分布
主に日本海側に分布。秋田県、兵庫県、鳥取県、石川県、山形県、北海道などが主な産地である。特に秋田県の沿岸漁業が有名だが、近年は兵庫県や鳥取県などの山陰地方における沖合底引き網漁の漁獲量も多い。
時期
産地により異なる。秋田県などの東北地方では、産卵のために接岸する11月〜1月頃(冬)が旬とされる。一方で、山陰地方では沖合で栄養を蓄えた3月〜5月頃(春)の個体も、脂が乗っていて味が良いと珍重される。
栄養
タンパク質を主成分とし、脂質にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を豊富に含む。抗酸化作用のあるビタミンEや、骨の形成を助けるビタミンD、代謝を促すナイアシン、カリウムなどのミネラルもバランスよく含まれている。
特徴
鱗がなく、加熱すると身離れが非常に良いため、小骨を気にせず食べやすい。白身で淡白ながらも独特の旨味とヌメリがあり、皮目には特有の風味がある。秋田を代表する魚醤「しょっつる(塩汁)」の原料であり、その卵は「ブリコ」と呼ばれ、噛むと口の中で弾けるような独特の食感が楽しまれる。
品種・由来
- 品種名:ハタハタ
- 分類:スズキ目ハタハタ科ハタハタ属
- 学名:Arctoscopus japonicus (Steindachner)
由来
和名の「ハタハタ」は、雷鳴の擬音語に由来する。古語で雷が鳴ることを「はたたく」といったことから、冬の雷が鳴り響くような荒天時に、産卵のため沿岸に押し寄せるこの魚を指すようになった。
伝来
日本近海からオホーツク海、カムチャツカ半島にかけて分布する固有種に近い存在であり、古来より日本海側の冬の貴重なタンパク源として利用されてきた。
歴史背景
秋田県では、江戸時代に常陸国から転封された佐竹氏に付随して移動してきたという伝説から「佐竹魚」とも呼ばれた。また、秋田の伝統的な食文化である「ハタハタ寿司(なれずし)」は、保存食としての知恵が詰まった郷土料理である。かつては爆発的な漁獲量を誇ったが、乱獲による資源減少を経て、現在は厳格な漁獲制限や資源管理が行われている。
備考
地方名が多く、秋田では「サタケウオ」「カミナリウオ」、鳥取や島根では「シラハタ」、新潟では「シマハタ」などと呼ばれることもある。
