選び方・調理法
選び方
手に持った際にずっしりと重みがあり、甲羅が非常に硬いもの(堅蟹)が最良とされる。甲羅の色が鮮やかな茶褐色で、腹側の節が白くはっきりしており、押しても凹まないものを選ぶ。脱皮直後の個体は「若蟹」と呼ばれ、大きさの割に身入りが少なく、カニミソの質も劣るため注意を要する。また、脚の付け根や関節が黒ずんでいるものは、鮮度が落ちている可能性が高い。
下処理
活けの状態では、真水に20〜30分ほど浸けて絞めるか、氷水で動きを止めてから調理する。これにより加熱時の自切(脚が外れること)を防ぐことができる。タワシ等を用いて、甲羅や脚の間に付着した汚れを流水で丁寧に洗い落とす。塩茹での際は、水1Lに対し30〜40g程度の食塩(海水と同等か、やや濃い程度)を加え、旨味を逃がさないよう甲羅を下にして、沸騰した状態から15〜20分ほど茹で上げる。
保存方法
死ぬと自己消化により急速に鮮度が落ち、身が痩せてしまうため、入手後は速やかに加熱調理することが望ましい。茹でた後は乾燥を防ぐため新聞紙やラップで包み、冷蔵保存する。長期保存の場合は、加熱後にラップとアルミホイルで二重に包んで冷凍する。解凍は冷蔵庫内での自然解凍が、旨味成分の流出(ドリップ)を最小限に抑えられる。
時期・特徴
国内分布
主産地は北海道全域。その他、青森県、岩手県、宮城県、福島県など太平洋岸の北日本に分布し、茨城県付近が南限とされる。輸入物としてはロシア産が多く流通している。
時期
産地ごとに漁期が異なるため、国内産は年間を通して供給がある。主な旬は、流氷明けのオホーツク海産(3月〜6月)、噴火湾産(7月〜8月)、釧路・根室沿岸産(9月〜12月)、十勝・日高沿岸産(12月〜2月)とされる。
栄養
高タンパクかつ低脂質な食材である。呈味成分としてグリシン、アルギニン、アラニン、グルタミン酸などの遊離アミノ酸を豊富に含み、これが独自の強い甘みとコクを形成している。また、タウリン、亜鉛、ビタミンB12、銅などを多く含む。
特徴
殻は比較的柔らかいが、全体が短い剛毛で覆われているのが最大の特徴。他の大型のカニ(タラバガニ等)に比べて体躯は小さいが、身の密度が高く、繊維が繊細で甘みが強い。特にカニミソの含有量が多く、濃厚でクリーミーな味わいはカニ類の中でも最高峰と評される。資源保護のため、北海道では甲長8cm以上の雄のみを漁獲対象とする規制が敷かれている。
品種・由来
- 品種名:ケガニ
- 分類:エビ目(十脚目)クリガニ科ケガニ属
- 学名:Erimacrus isenbeckii
由来
全身を覆う密集した短い剛毛が「毛」のように見えることからこの名がついた。
伝来
日本近海に古くから自生する在来種である。
歴史背景
古くは北海道の沿岸部で肥料として利用されるほど豊富に生息していたが、食用としてはタラバガニの代用品という位置付けが長かった。1940年代、戦時下の食糧統制により他の食材が不足する中、長万部駅の駅弁業者が統制外であったケガニを茹でて販売した「かなやの煮かに」がヒットし、全国的にその美味が知られるきっかけとなった。現在は「タラバガニ」「ズワイガニ」と並び、日本の三大ガニの一つに数えられている。
備考
別名「オオクリガニ」。近縁種に「クリガニ」や「トゲクリガニ」が存在するが、ケガニに比べて小型で、甲羅の形状(側縁の棘数など)が異なる。
