選び方・調理法
選び方
刺身など生食で供する場合は、活(い)きているものが大原則である。全体に透明感があり、縞模様が鮮明で、節の間隔が詰まってハリがあるもの、目が生き生きとしているものを選ぶ。頭部がぐらついていたり、頭や足の付け根が黒変(メラノーシス)し始めているものは鮮度が落ちているため避ける。また、尾鰭(おびれ)の先端が鮮やかな黄色や青色に輝いているものは質の良い証拠とされる。
下処理
活けの身を締める際は、氷水にさらして一気に冷やすことで身質が引き締まり、特有の甘みが際立つ。背わた(消化管)は砂を含み、食感や風味を損なうため必ず取り除く。殻付きのまま調理する場合は、背を丸めて節の間に竹串を刺し、引き抜くようにして抜く。天ぷら等で尾を残す場合は、尾の中央にある鋭い棘(とげ)を除去し、尾の先を斜めに切り落として中の水分を包丁でしごき出すと、油跳ねを防止できる。
保存方法
活け体は、おが屑(くず)と共に冷暗所(10〜15℃前後)に置くことで数日間は生存可能。冷蔵庫は温度が低すぎ、乾燥も強いため活けのままの保管には向かない。死んだ個体は急速に鮮度が落ち、頭部から黒変するため、速やかに頭と背わたを除去し、氷水で洗ってから密閉して冷蔵または冷凍保存する。
時期・特徴
国内分布
三河湾(愛知県)、瀬戸内海、有明海(九州各県)などが主要な産地。天然物の漁獲量は愛知県や愛媛県、熊本県などが上位を占める。養殖は沖縄県や鹿児島県、山口県などの温暖な地域で極めて盛んに行われている。
時期
養殖技術が確立されているため通年流通している。天然物の旬は、海水温が上がる初夏から秋(6月〜10月頃)にかけて。冬場は「冬眠状態」となるため天然物の漁獲は減るが、この時期は身が締まり甘みが強いとされる。
栄養
高タンパク・低脂質の代表格。甘みの成分であるグリシンやベタインなどのアミノ酸が豊富。タウリンを多く含み、コレステロール値の抑制や肝機能のサポートに役立つとされる。その他、ビタミンB12、ビタミンE、カルシウム、銅などのミネラル分をバランスよく含む。
特徴
十脚目クルマエビ科に属し、体長は最大30cm程度に達する。体表に茶褐色の鮮やかな縞模様があり、体を丸めた姿が車輪のように見えることからその名がついた。エビ類の中でも屈指の旨味と食感を持ち、「姿の伊勢海老、味の車海老」と称される。
成長段階によって呼び名が変わる。
小巻(こまき)・鞘巻(さいまき):10cm前後(約20g)。天ぷら種として最適とされる。
車(くるま):15〜20cm前後。寿司種や塩焼きに重宝される。
大車(おおぐるま):20cm以上。大型で食べ応えがあり、刺身やフライに向く。
品種・由来
- 品種名:クルマエビ(車海老、車蝦)
- 分類:十脚目クルマエビ科クルマエビ属
- 学名:Marsupenaeus japonicus
由来
体を丸めた時に、体側の縞模様が車輪のように見えることから「車海老」と呼ばれるようになった。
伝来
日本近海に広く生息し、古来より各地の沿岸漁業で親しまれてきた。1889年(明治22年)に熊本県の天草諸島で畜養が始まり、1963年(昭和38年)には山口県秋穂町(現:山口市)にて藤永元作博士により世界で初めて完全養殖技術が確立された。
歴史背景
江戸時代の百科事典『和漢三才図会』には「煮れば色は紅色に変わり、形は車輪のように曲がる故の命名」との記述がある。また、江戸前の握り寿司が誕生した文政年間(19世紀初頭)から、煮えびや活けの寿司種として欠かせない存在であった。
備考
「車海老」の名で売られていても、輸入物の「ブラックタイガー(ウシエビ)」や「バナメイエビ」は別種である。本種は尾鰭の色彩が鮮やかなグラデーションになっている点で見分けられる。
