選び方・調理法
選び方
必ず生きていて、身に張りがあり、触れた際に強く締まるものを選ぶ。表面の突起(イボ)が鋭く立っており、肉厚で太く短いものが良品とされる。皮膚が溶けてぬめりが出ているものや、形が崩れて平坦になっているものは鮮度が落ちているため避ける。料理によって、食感の柔らかい「赤」と、身の締まった「青・黒」を使い分けるのが一般的である。
下処理
ナマコは油分に極めて弱く、わずかな油や洗剤が付着するだけで身が溶け始めるため、器具や手は清潔に保つ。
切り出し:両端の硬い部分を切り落とし、腹側に縦に切れ目を入れる。
内臓除去:中の内臓(このわた)を取り出す。
塩揉み:ザルに入れ、たっぷりの塩を振って力強く揉むか、ザルを激しく振ってぬめりを出し、身を締めさせる。
洗浄:流水で汚れと余分な塩分を素早く洗い流す。
硬い場合は、茶葉を入れた熱湯にさっと潜らせる「茶振り」を行うと、表面が殺菌されるとともに身が適度に柔らかくなる。
保存方法
生鮮品は鮮度低下が非常に早いため、下処理後は三杯酢などに浸した状態で冷蔵し、1〜2日以内に食べ切る。乾燥品(干しナマコ)は、湿気を避けて冷暗所で保存する。戻した後は、毎日水を変えながら冷蔵庫で保管し、早めに使用する。
時期・特徴
国内分布
北海道から九州まで日本各地の沿岸に分布する。主な産地は北海道、青森県、石川県、山口県、長崎県など。岩礁地帯には「赤」、砂泥地には「青」「黒」が多く生息する傾向がある。
時期
旬は冬。海水温が下がる11月頃から活動が活発になり、身が充実する。「冬至ナマコ」と呼ばれ、冬の季語にもなっている。夏場は水温上昇に伴い、泥の中で活動を止める「夏眠」に入るため、市場流通は減少する。
栄養
成分の約90%が水分であるが、乾燥重量あたりではタンパク質(コラーゲン)が豊富である。カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルをバランスよく含む。また、サポニンの一種であるホロスリンを含み、古くから滋養強壮に良い食材とされてきた。
特徴
日本で食用とされるのは主にマナマコである。体色により「アカナマコ(赤)」「アオナマコ(青)」「クロナマコ(黒)」と呼び分けられるが、これらは同一種の色変異とされる。赤は外洋の岩場に住み、身が柔らかく風味が良いため、刺身(酢の物)用として高値で取引される。青や黒は内湾の砂泥地に住み、身が硬いため、加工品や加熱調理に用いられることが多い。
品種・由来
- 品種名
- 品種名:マナマコ
- 分類:シカクナマコ科マナマコ属
- 学名:Apostichopus japonicus (Selenka, 1867)
由来
古くは単に「こ」と呼ばれていた。調理前の生の状態を「生(なま)の、こ」と呼んだことが「ナマコ」の語源とされる。内臓を「このわた(この腸)」、乾燥させたものを「いりこ(炒り、こ)」と呼ぶのはその名残である。
伝来
日本在来種。古事記(712年)の天孫降臨の段に、アメノウズメが魚たちに問いかけた際、ナマコだけが答えなかったという記述があり、日本最古の文献に登場する食材の一つである。
歴史背景
平安時代の『延喜式』には、ナマコの供物や「このわた」の記述がある。江戸時代には、干しナマコは「俵物(たわらもの)」として、中国(清)への重要な輸出商品(長崎貿易)となった。中国料理では「海参(ハイシェン)」と呼ばれ、乾燥させることで栄養価と価値が高まる高級食材として珍重されている。
備考
主な料理には「酢の物(土佐酢、おろし和え)」、卵巣を干した「くちこ(ばちこ)」、内臓の塩辛である「このわた」などがある。中国料理では、戻した干しナマコを醤油やオイスターソースで煮込む「紅焼海参」などが代表的である。
