選び方・調理法
選び方
身に張りがあり、弾力が強いものを選ぶ。切り身(身欠き)の場合は、肉質が透き通り、表面に瑞々しい光沢があるものが良質。天然ものと養殖ものは尾びれの状態で判別しやすく、天然ものは尾が太く扇状にきれいに広がる。対して養殖ものは、狭い生簀内での接触により尾びれが擦れていたり、角が丸くなっていたりすることが多い。また、目が澄んで黒目がはっきりしているものが高鮮度である。
下処理
猛毒のテトロドトキシンを含むため、素人の調理は厳禁である。都道府県知事などが認めた「フグ調理師(処理師)」の免許保持者のみが除毒処理(身欠き)を行うことができる。
業務用として扱う際、鮮度が良すぎる身は「いかり」と呼ばれる死後硬直状態にあり、そのままでは薄造りにできないため、布に包んで一晩ほど寝かせ(熟成)、身を落ち着かせてから引くのが一般的である。皮は外側の「サメ皮(棘のある真皮)」を剥ぎ、内側の「身皮(トウトウミ)」と分けて利用する。
保存方法
乾燥を防ぐため、湿らせた清潔な布かキッチンペーパーで包み、ラップをして冷蔵保存する。熟成させる場合は、ドリップ(血水)をこまめに拭き取ることが重要。長期保存には急速冷凍が用いられる。
時期・特徴
国内分布
日本近海から東シナ海にかけて広く分布する。産地としては、古くから集積地となっている山口県下関市や、福岡県、長崎県が有名。また、瀬戸内海の「内海もの」は身の締まりが良く評価が高い。近年では、温泉水や陸上養殖を用いた生産も各地で行われている。
時期
「秋の彼岸から春の彼岸まで」と言われるが、最も身が充実し、白子が発達する12月から2月頃が最盛期とされる。
栄養
高タンパク・低脂質な白身魚の代表格。脂質は1%未満と非常に少ない。皮の部分には良質なコラーゲン(ゼラチン質)が豊富に含まれている。また、うま味成分であるグルタミン酸やイノシン酸、甘みを感じさせるグリシンなどがバランスよく含まれる。
特徴
フグ科の中で最も高級とされ「フグの王様」と称される。体側にある白い縁取りのある大きな黒色斑が特徴。肉質は非常に強靭で締まっており、他の魚にはない独特の歯ごたえと噛むほどに広がる深い甘みがある。皮は外側から「黒皮」「白皮」、その内側の「トウトウミ(三河:身に近い皮)」の三層に分かれ、それぞれ食感が異なる。
品種・由来
- 品種名:トラフグ
- 分類:フグ科トラフグ属
- 学名:Takifugu rubripes
由来
腹部を膨らませる姿が瓢箪(ひょうたん)を意味する「ふくべ」に似ていることから「ふく」と呼ばれ、それが転じて「ふぐ」になったとされる。また、山口県や九州の一部では「福」を呼び込む縁起物として「ふく」と呼ぶ習慣が根強く残っている。
伝来
日本列島周辺の固有種に近く、縄文時代の貝塚からもフグの骨が出土しており、古来より日本人の食文化と密接に関わってきた。
歴史背景
安土桃山時代、豊臣秀吉が朝鮮出兵の際にフグ中毒による兵の死者が相次いだため「河豚食禁止令」を出した歴史がある。その後、長らく公には食用が禁じられていたが、明治21年(1888年)、下関を訪れた初代内閣総理大臣・伊藤博文がその美味しさに感銘を受け、山口県知事に働きかけて禁令を解かせたことで、近代におけるフグ食文化が再興した。
備考
刺身は、皿の模様が透けるほど薄く引く「てっさ(鉄の刺身=当たれば死ぬの意)」、鍋は「てっちり」と呼ばれる。白子は「海の宝石」とも称され、塩焼きや天ぷら、白子酒などで珍重される。
