選び方・調理法
選び方
サク(塊)で購入する場合、身の色が鮮やかで透明感があり、切り口がしっとりと潤っているものを選ぶ。赤身は色が濃く、ドリップ(汁)が出ていないことが重要である。脂が乗った部位は、キメが細かく白い脂肪(サシ)が均一に入っているものが良質とされる。筋目が平行に走っているものは刺身に引きやすく、逆に半円状や複雑な筋が入っているものは尾に近く硬いため、加熱調理に向く。身の中に「シミ(血栓)」がないことも確認すべき点である。
下処理
冷凍マグロ(特に遠洋もの)を扱う際は、解凍工程が味を左右する。40度程度の温塩水(濃度3%程度)で表面の汚れや削りカスを洗い流し、表面を軽く締める「温塩水解凍」が推奨される。その後、吸水紙で水分を完全に拭き取り、清潔な布やペーパーで包んで冷蔵庫内でゆっくりと芯まで解凍させることで、旨みの流出を防ぎ、色持ちを良くすることができる。
保存方法
空気に触れると酸化が進み、メトミオグロビンの生成により茶褐色に変色するため、空気を遮断することが最優先となる。リードペーパー等で包んだ上からラップを密閉し、さらにポリ袋に入れて冷蔵庫のチルド室(可能であれば氷温域)で保存する。家庭用冷凍庫では温度が高く「冷凍焼け」を起こしやすいため、購入後は速やかに消費するのが望ましい。
時期・特徴
国内分布
日本近海を含む世界中の温帯・熱帯海域。クロマグロ(本マグロ)は北半球に、ミナミマグロ(インドマグロ)は南半球に主に分布する。キハダ、メバチ、ビンナガは世界中の外洋に広く分布している。
時期
種類や産地により異なるが、日本近海のクロマグロは脂が乗る12月〜2月(冬)が最盛期とされる。
クロマグロ: 12月〜2月(冬)
キハダマグロ: 6月〜11月
メバチマグロ: 10月〜2月
ビンナガマグロ: 11月〜3月
冷凍技術の発達により、遠洋ものは通年高品質な状態で流通している。
栄養
良質なタンパク質と必須アミノ酸をバランスよく含む。赤身は低脂肪・高タンパクで、セレン(抗酸化作用)や鉄分が豊富である。トロ(脂肪部)には、脳の活性化を促すDHAや、血液をサラサラにするEPAが非常に多く含まれる。また、代謝を助けるナイアシンやビタミンB群も豊富である。
特徴
サバ科マグロ属に分類される大型肉食魚の総称。「止まると窒息する」ことで知られ、一生泳ぎ続けるために筋肉中のミオグロビンが発達しており、それが赤身の色となっている。
クロマグロ: 「海のダイヤ」と称される最高級種。
ミナミマグロ: クロマグロに匹敵する脂の甘みがあり、寿司店での需要が高い。
メバチマグロ: 目が大きく、刺身用として最も一般的に流通する。
キハダマグロ: 身が硬めで色が変わりにくく、缶詰の原料や西日本の刺身文化で好まれる。
ビンナガマグロ: 身が淡いピンク色で柔らかく、ビントロとして人気。
品種・由来
- 品種名・分類・学名
クロマグロ(太平洋型): サバ科マグロ属 / Thunnus orientalis
ミナミマグロ: サバ科マグロ属 / Thunnus maccoyii
メバチマグロ: サバ科マグロ属 / Thunnus obesus
キハダマグロ: サバ科マグロ属 / Thunnus albacares
ビンナガマグロ: サバ科マグロ属 / Thunnus alalunga
由来
目が大きく黒いことから「目黒(めぐろ)」、または背側が真っ黒であることから「真黒(まくろ)」と呼ばれたことが転じたとされる。常時泳ぎ回る姿から、古語で「動く」を意味する言葉に関連する説もある。
伝来
日本列島周辺の在来種。縄文時代の貝塚から骨が多数出土しており、古くから重要な食用資源であったことが証明されている。『万葉集』にも「シビ(鮪の古名)」として登場する。
歴史背景
江戸時代初期までは「下魚(げぎょ)」とされ、鮮度保持の難しさから敬遠されていた。江戸中期から後期にかけて、醤油に浸して保存性を高める「づけ」の技法が開発されたことで江戸前鮨の主役へと躍り出た。かつて「脂っこすぎる」と捨てられていたトロが珍重されるようになったのは、日本人の食生活が欧米化した昭和初期以降のことである。
備考
世界的な健康志向の高まりによる需要拡大を受け、特にクロマグロやミナミマグロは資源枯渇が危惧されている。これに対応するため、ICCAT(大西洋まぐろ類保存国際委員会)などの国際機関による漁獲制限や、近畿大学を中心とした完全養殖技術の普及が進められている。
