選び方・調理法
選び方
殻付きの場合は、殻を固く閉じているもの、または触れた瞬間に素早く閉じるものが新鮮である。水吹き(水管から水を吐き出す動作)が盛んなものは活きが良い。むき身の場合は、足の部分がふっくらと肉厚で弾力があり、表面に艶があるものを選ぶ。湯通し済みのものは、先端の赤色が鮮やかで濃いものが良質とされる。全体に身が痩せているものや、異臭がするものは避ける。
下処理
殻付きは、まず真水に浸して砂を吐かせる。殻の隙間からナイフやヘラを差し込み、上下の貝柱を切り離して身を取り出す。足(斧足)を切り開き、中にある砂や内臓を丁寧に取り除き、塩水で軽く洗う。生食用にする場合は、70〜80℃程度の熱湯にさっと潜らせる「湯通し(霜降り)」を行うと、先端部が鮮やかな赤紫色に発色し、甘みと旨みが一層引き立つ。加熱しすぎると身が硬くなるため、短時間の処理が重要である。
保存方法
殻付きのまま保存する場合は、乾燥を防ぐため湿った新聞紙や布で包み、冷蔵庫(5℃前後)で保存する。むき身にした場合は、水分を拭き取りラップで密閉して冷蔵し、2日以内を目安に消費する。長期保存する場合は、ボイルしてから急速冷凍することで食感と風味を比較的維持できる。
時期・特徴
国内分布
茨城県以北の太平洋沿岸から北海道、オホーツク海にかけて分布。特に北海道の苫小牧市や別海町、福島県の相馬地方などが主要な産地として名高い。水深10m前後の浅い砂底に生息する。
時期
通年流通しているが、産卵期を控えた冬から春(11月〜4月頃)にかけてが最も身が充実し、風味が増す旬とされる。産卵期にあたる夏場は身が痩せ、味が落ちる傾向がある。
栄養
高タンパク・低脂肪で非常にヘルシーな食材。鉄分やビタミンB12が豊富に含まれており、貧血予防に効果が期待できる。また、旨み成分であるグリシンやアラニンなどのアミノ酸に加え、肝機能の働きを助けるタウリン、甘みを引き出すベタインなどが豊富に含まれている。
特徴
標準和名は「ウバガイ」であるが、市場や料理店では「ホッキガイ(北寄貝)」の名称が一般的である。大型の二枚貝で、殻長は10cmを超え、寿命は30年以上におよぶ長寿な貝として知られる。生の身は灰紫色を帯びた淡い色合いだが、熱を通すことで鮮やかな赤紫色に変化し、独特の強い甘みとシコシコとした食感が生まれる。刺身、寿司、バター焼き、炊き込みご飯(ほっき飯)など、多様な調理に適する。
品種・由来
- 品種名:ウバガイ(姥貝)
- 分類:バカガイ目バカガイ科ウバガイ属
- 学名:Pseudocardium sachalinense
由来
「ホッキガイ」は、北海道や東北など「北」の地方に「寄」る貝であることに由来するという説や、アイヌ語の「ポキ」に由来する説などがある。標準和名の「ウバガイ(姥貝)」は、殻が非常に長寿であること、あるいは老いた姥のように殻が黒ずんで見えることから名付けられたとされる。
伝来
日本近海の在来種。古くから北日本の沿岸地域において、重要なタンパク源として食用にされてきた。
歴史背景
かつては産地周辺で消費される地産地消の食材であったが、1970年代以降の物流と冷凍技術の発展により、高級食材として全国へ流通するようになった。北海道苫小牧市では市の貝として指定されており、地域ブランド化が進んでいる。
備考
冷凍流通している安価なものは、カナダ産の近縁種アメリカウバガイ(Spisula solidissima)であることが多い。こちらは国産のものに比べて身が大きく、加熱した際の赤色がより強く出る傾向がある。
