選び方・調理法
選び方
天然物は体表の表側(有眼側)が茶褐色で、裏側(無眼側)は純白。養殖物や放流魚は、無眼側に黒い斑紋(黒変現象)が見られる場合が多い。魚体は2kg〜3kg程度のものが、身の厚みと脂の乗りのバランスが良く、最も味が良いとされる。全体に艶やかなぬめりがあり、身に弾力と厚みがあるもの、エラが鮮紅色で、無眼側に血走ったような鬱血がないものが良質。鮮度の高いものは、身を透かした際に透明感のある淡いピンク色を呈する。
下処理
細かく密集した鱗を落とすため、包丁で鱗をすき取る「すき引き」を行う。五枚おろし(背身2枚、腹身2枚、中骨1枚)にするのが一般的。淡泊な白身の旨みを引き立てるため、薄塩を振り、出た水分を割り酢で洗う「酢洗い」を施すと、身が締まり生臭みが抑制される。皮側を下にしてリードペーパー等で汁気を切ることで、酢の浸透しすぎを防ぐことができる。
保存方法
活魚をストックする場合は、水槽温度を12℃〜15℃前後に保つのが理想的。死魚(上がり)の場合は、内臓とエラを取り除き、水分を完全に拭き取ってから脱水シートやペーパーで包み、ラップで密閉して氷水または冷蔵(0〜3℃)で保存する。適度に寝かせる(熟成)ことで、イノシン酸などの旨み成分が増加する。
時期・特徴
国内分布
日本近海全域に分布。主な産地は、天然物では青森県、北海道、茨城県、新潟県、長崎県など。養殖物では大分県が全国トップの生産量を誇り、愛媛県、鹿児島県、三重県、長崎県などでも盛んに行われている。
時期
旬は海水温が下がる冬場(11月〜2月頃)で、この時期のものは「寒ビラメ」と呼ばれ、脂が乗り、身が最も充実する。春から夏にかけての産卵期は、身が薄くなり質が落ちるため「産後ビラメ」や「麦わらビラメ」と称され、味が落ちるとされる。
栄養
高タンパク・低脂肪な白身魚の代表格。旨み成分であるグルタミン酸やイノシン酸が豊富。特に「えんがわ(鰭を動かす筋肉)」にはコラーゲンが豊富に含まれるほか、脂質にはIPA(EPA)やDHAが含まれる。ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB6などもバランスよく含まれている。
特徴
カレイ類と異なり、眼が体の左側に寄っていることから「左ヒラメに右カレイ」と判別される。口が大きく、鋭い歯が並ぶのが特徴。白身魚の中でも最高級品として扱われ、淡泊ながらも強い旨みと甘みを持つ。特に背鰭・臀鰭の付け根にある「えんがわ」は、コリコリとした独特の食感と濃厚な脂の旨みがあり、希少部位として珍重される。
品種・由来
- 品種名:ヒラメ(鮃)
- 分類:カレイ目ヒラメ科ヒラメ属
- 学名:Paralichthys olivaceus
由来
平らな魚体であることから「平目(ひらめ)」、あるいは眼が並んでついていることから「比目魚(ひもくぎょ)」と呼ばれたことが語源とされる。
伝来
日本近海の在来種。古くから食用とされており、『延喜式』などの古文献にも記載が見られる。
歴史背景
江戸時代から「白身の王」として、タイ(マダイ)と並び称される高級魚であった。かつては天然物のみであったが、1970年代以降、種苗生産技術の向上により養殖が本格化。現在では通年で安定した供給が可能となっている。
備考
地方名が多く、オオクチ、カレ(常磐)、ヒダリグチ、テックイ(北海道・東北)、ゾゲ(長崎)などと呼ばれる。
