選び方・調理法
選び方
目に濁りがなく黒目がはっきりとしているもの、体側に走る銀色の帯が鏡のように鮮やかに光っているものが新鮮とされる。身にハリがあり、腹が破れていないものを選ぶ。鮮度が落ちるのが非常に早いため、ツヤを失い白っぽくなっているものは避ける。
下処理
身が非常に柔らかく骨も細いため、包丁を使わずに手でさばく「手開き」が一般的である。頭を落として内臓を除き、親指を中骨に沿わせて身を分ける。水洗いする際は、薄い塩水(立て塩)で手早く洗うことで、身を締め、独特の臭みを取り除くことができる。刺身(手開きにしたもの)は、鹿児島地方では「菊盛り」にして酢味噌で食すのが伝統的である。
保存方法
非常に鮮度低下が早いため、購入した当日に食べ切るのが望ましい。保存する場合は、内臓を取り除いて真水で洗い、水分を完全に拭き取った後、密閉容器に入れてチルド室で保管する。冷凍する場合は、一尾ずつ重ならないようにラップに包むか、急速冷凍を行う。
時期・特徴
国内分布
千葉県以南の太平洋側、および日本海南部、東シナ海、インド洋、西太平洋に広く分布する。国内では特に鹿児島県(宿里や阿久根など)、長崎県、高知県、熊本県などの温暖な海域が主な産地として知られる。
時期
産卵期を控えた春から初夏(5月〜8月頃)が最も脂が乗り、子持ちの個体も珍重されるため最大の旬とされる。また、冬場(12月〜2月頃)も身が締まり、味が安定している。
栄養
良質なタンパク質に加え、骨ごと食べることが多いためカルシウムを豊富に摂取できる。カルシウムの吸収を促進するビタミンDも含まれている。脂質には、血液をサラサラにする効果があるとされる不飽和脂肪酸のEPA(IPA)や、脳の活性化に寄与するDHAを豊富に含有する。
特徴
ニシン科キビナゴ属に属する全長10cmほどの小魚。沿岸域を群れで回遊する。体側に美しい銀白色の縦帯があるのが最大の特徴で、その上側に青い線が並走する。鱗(うろこ)は非常に剥がれやすく、漁獲直後にはほとんど落ちてしまう。鮮度が良ければ身は透明感のある美しい白身で、独特の苦味と甘みを併せ持つ。
品種・由来
- 品種名:キビナゴ(黍魚子、吉備奈子、波志加)
- 分類:ニシン目ニシン科キビナゴ属
- 学名:Spratelloides gracilis
由来
鹿児島地方の方言で、帯のことを「キビ」、小魚のことを「ナゴ」と呼ぶことから、体側に帯のある小魚という意味で「キビナゴ」の名がついたとされる。
伝来
日本近海の温暖な沿岸域に古くから自生しており、特に南九州では古くから重要な食用資源として親しまれてきた。
歴史背景
古くから産地では「生」で食べる文化が根付いていたが、足が早いため、かつては漁師や産地周辺のみで消費される魚であった。近年の輸送技術や冷蔵技術の向上により、鮮度を保ったまま都市部の市場へも流通するようになった。鹿児島県では「県の魚(四季の魚・春)」にも指定されている。
備考
加工品としては、丸干し、煮干し、唐揚げ用の冷凍品のほか、古くから魚醤の原料としても利用されてきた。
