選び方・調理法
選び方
目が黒く澄んで潤いがあり、エラが鮮紅色で閉じているものを選ぶ。魚体に太みと厚みがあり、腹側に金色の光沢がある「キアジ」タイプは特に脂が乗っている。鱗や「ゼイゴ」がしっかり残っており、触れた際に身に強い弾力があるものが新鮮。切り身の場合は、身が透明感を持ち、血合いの色が鮮やかなもの、皮にツヤがあるものが良品である。
下処理
アジ類特有の硬い鱗「ゼイゴ(ゼンゴ)」を、尾の付け根から体の中央付近まで、包丁を寝かせて削ぎ取る。小アジを丸ごと使う場合は、口から箸を差し込んで内臓を絡め取る「つぼ抜き」を行うと、魚体を傷めずに処理できる。鮮魚を刺身にする際は、アニサキス等の寄生虫に注意し、中骨(血合い骨)を骨抜きで丁寧に取り除く。皮は手で剥ぎ取ることができる。
保存方法
入手後は速やかに内臓とエラを除き、血分を洗い流して水分を完全に拭き取ることが重要。ペーパータオルとラップで密着包装し、チルド室で保管する。刺身用は当日中、加熱用でも2日以内が目安。酢締め(酢じめ)にすることで保存性が高まる。長期保存の場合は、開いてから塩を振り、一夜干しにするか、急速冷凍を行う。
時期・特徴
国内分布
北海道から九州まで日本全国の沿岸に分布する。主な産地は長崎県(生産量日本一)、島根県、愛媛県、大分県、静岡県など。
時期
通年流通しているが、最も脂が乗り美味とされる旬は5月から7月にかけての初夏である。この時期の「若アユ」ならぬ「若アジ」は、小ぶりながらも身が締まり、香りと甘みが強い。
栄養
タンパク質、脂質ともにバランスが良く、良質な不飽和脂肪酸であるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を豊富に含む。また、代謝を助けるビタミンB1、B2、B12、抗酸化作用のあるビタミンE、骨を丈夫にするカルシウム、タウリン、カリウムなども多く含まれる。
特徴
アジ科マアジ属。市場でアジといえば一般的に「マアジ」を指す。生態により、沿岸の岩礁域に定着してプランクトンを食べる「キアジ(地アジ)」と、沖合を回遊する「クロアジ」に大別される。キアジは体色が黄色味を帯び、脂の乗りが非常に良いため、高値で取引される。
側線上に「ゼイゴ」と呼ばれる鋭い鱗を持つのがアジ科の共通した特徴。白身の清涼感と赤身の旨みを併せ持つため、和洋中あらゆる料理に対応できる極めて汎用性の高い食材である。
品種・由来
- 品種名:マアジ、シマアジ、ムロアジ、メアジ、マルアジ
- 分類:スズキ目アジ科マアジ属
- 学名:Trachurus japonicus
由来
「味が良い」ことから「アジ」と名付けられたという説が最も有力である。また、旧暦の3月(現在の5月頃=旬の始まり)に美味しくなることから、魚偏に「参」と書いて「鯵」となったとする説もある。
伝来
日本近海に古くから生息する在来種。縄文時代の貝塚からもアジの骨が出土しており、古来より日本人の重要なタンパク源であったことが証明されている。
歴史背景
かつては「大衆魚」の代名詞であったが、近年では漁法の工夫や徹底した鮮度管理により、特定の産地名を持つ「ブランドアジ」が高級食材として定着している。大分県の「関あじ」は、豊後水道の一本釣り個体を活け締めにしたもので、その歯ごたえと旨みは別格とされる。その他、長崎県の「ゴンアジ」「野母んあじ」、島根県の「どんちっちアジ」など、各地で差別化が進んでいる。
備考
代表的な料理は、刺身、タタキ、なめろう、塩焼き、フライ、南蛮漬け、つみれ汁など。加工品としては「開き干し」や、伊豆諸島の特産品「くさや(ムロアジ使用)」が有名である。シマアジはアジ類の中でも最高級品として扱われる。
